よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

増患対策と地域連携について

 今日は奈良の病院です。午前中少し東京にいましたが、京都から奈良に移動し、鹿さんのいる奈良に来ました。奈良はいいですね。安心します。

 私は、新宿歌舞伎町近くでの生まれですから、どうしても喧騒ななかでしか息ができない生き物です。物心ついたころからとにかく人が多い場所で生活しています。

 とりわけ新宿区というのは千代田区や港区のように超都会ではないものの、都庁を中心とした高層ビルが立ち並ぶいわゆる都会といった雰囲気をもった場所です。いまではあちらこちらでビル開発が進み、東京は丸の内、汐止め、六本木、新橋など等高層ビルが立ち並んでいますが、当時(私がまだ小さいころには新宿の高層ビルが一番大きかったような気がします。池袋にサンシャインなんかがありましたし、霞ヶ関ビルがあったかも)は新宿には大きなビルが沢山あったのです。

 いずれにしても動いていないとダメになりそうな感覚はそうしたなかで育まれたのかも知れません。
奈良は緑が大きく、そして何よりも古都のイメージが脳に焼き付いています。大阪までも30分程度だし、京都にも同様で、以外と便利ですよね。近鉄は京都からも駅がすぐ近いことは前にも書きましたが、周りにいる人も心なしか優しそうにみえたりします。

 で、地域ということはとても意味があります。地域により文化や人の考え方や行動様式が異なる。これは当たり前ですよね。で、やはり地域連携にもその場所場所のやり方があるのだと思います。
 病院は医療費の自己負担増加により、患者さんが激減しています。どの病院も患者さんが減っている理由はそうとしか思えません。この間お聞きしたら診療所も患者さんが減っていると…。増患がこれからの病院の基本戦略です。DPCや病院は入院といった方向は確かにあるとしても、プロセスにおいては増患ですよね。外来が増えないと…。

 で、本来は質を上げてブランドをつけ、本当に地域住民から慕われる先生が沢山いる。職員が数多くいることでの増患。地域に合った治療ができる病院。これが基本です。しかし、医療機関が飽和している地域においては、選択の基準が千差万別であり、それぞれに対処することはとても困難です。

 基本は医療の質の向上のための活動を地道に行うこと。しかし、一方でさまざまな活動をしなければならないことも事実です。受入態勢については以前から増患阻害要因を排除ということで説明してきていますが、なかなか病院は変われない、ということが印象です。

 今日おじゃました病院は私たちの提案で、病院改革が進んでおり、パスやマニュアル、教育やリスク、指標委員会や地域連携委員会とそれらを統括する経営改革委員会が組成され運用されて3ヶ月経過しました。少しずつ、いままでできていなかったことに対し、前向きに医師を中心とした職員が活動をしはじめています。
 しかし、地域連携による増患の取組みがいま一歩だと認識しており、今日のミーティングとなったわけです。
 ①現状分析(追跡調査、断り率及び原因分析等)
 ②データづくり
 ③医療機関の選定
 ④資料整備
 ⑤自院医師とのミーティング(逆紹介についての強化)
 ⑥欲しい患者さん決定
 ⑦巡回
 ⑧カンファレンス
等による医師との連携強化、そして
 ⑧パンフ
 ⑨HP
 ⑩院内外セミナーの実施
といった簡単な部分からの対応を9月までに仕組みを完成。活動スタート(従来の方法を0から見直す)ということで来週から動くことになりました。

 奈良では奈良の、この地域に合った地域連携の仕方があるのかどうかは判りませんが、自院がどのようにして地域貢献するのかといった思いが病院全体になければ増患は困難であるという結論でミーティングは終了しました。