よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

新しい病院研修システム

 病院では、個人の技術技能向上が重要なテーマとなっています。
 大きくいって、病院研修には次の3つがあります。
 ①院内研修 
  ⅰ)職場内で随時実施される研修   
  ⅱ)病院が計画的に実施する研修
 ②院外研修 

(1)職場内で随時実施される研修
 職場内で随時実施される研修は、職場において管理されるだけではなく、それらをとりまとめ、全病院に開示することで、開示された他部署の研修や勉強会へ参加を促すことが必要です。他部署の研修や勉強会であったとしても、仕事上必要なことや自部門の仕事に連関することがあり、他部署から参加し学習することに十分に意味があります。

 参加者を日常活動の評価のなかで評価することで、参加を促しますが、本来であれば自分の知識を高めることや、他部署のスタッフとのコミュニケーションを図ることは日常業務に大きく影響を与えるため、そのこと自体が有益であることは間違いありません。
  
 イベントによりコミュニケーションを図ることも必要ではありますが、できれば、日常のなかでの接点を多数もつことや同じテーマで議論することにより、相互認識を強くすることのほうが効果的であることが理解されています。
 その一環としての他部署の研修勉強会への参加を総務として誘導するシステムをつくりあげていく必要があります。

(2)病院が計画的に実施する研修
 計画的という意味には、必要に応じてある意味強制的に、という部分が隠されています。すなわち、病院が用意した研修や勉強会は必ず全職員が参加しなければならない、ということを意味しています。

 ①もともとある、基本的な事項であり、原理原則として全職員が周知されなければならない事項で、病  院がまだ周知徹底されていないと考える事項
 ②物事の考え方
 ③タイムリーなトピックスのうち、病院が取り入れなければならない仕事の方法
 などについては、ABCランクをつけ、それぞれ部署別あるいは病院全体としてある意味強制的に参加を促すことが必要な研修勉強会です。
 なお、この場合も院内各部署の研修、勉強会と同様に、他部署がある部署に対して実施する研修、勉強会に参加することができるよう誘導していかなければなりません。

(3)院外研修 
 院外研修の資料は、参加した個人あるいは、その部署の財産ではありません。
 部署での報告会だけでは意味がありません。基本的には、
 ①概要
 ②報告書
 ③資料
 をワンセットとして、
 ④管理シートを頭につけて管理する必要があります。
  
 ⅰ)どのようなテーマの資料が
 ⅱ)どこに保管されています
 ⅲ)病院としてはこうしたことを学習して欲しい
  といったタグをつけて院外研修に参加していない者への学習を促すことで、院外研修を有効に活用す ることができます。基本的には

 A総務に全部一括管理する
 B各部署で必ず厳格に管理する(誰かが取りに来ても渡せるように)
 のどちらかでの保管になるでしょう。

3.まとめ
 上記を検討のうえ、貴院なりの研修勉強会のシステムをつくりあげていく必要があります。なお、職場内教育にてマニュアルや職務基準によるトレーニングがあり、その上位として集合教育があるという考え方を忘れてはなりません。

 まず職場内、わからないことや理解を深めるために院内集合教育、それでもわからないあるいは、院内では不可能な研修や勉強会のために外部における視察や研修会がある、という位置づけです。
 上記の考え方を理解しないまま、研修勉強会というテーマだけにフォーカスしていくと体系が崩れ、受講する、あるいは学習する側の理解や納得、そしてそのうえでの能動的な態度を引き出すことができなくなります。上記に留意して病院における研修システムを構築することが必要です。