よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

積極的なリスクマネジメント(2)

 そもそもリスクマネジメントは一義的には現場が対応すべきものです。現場に業務改革マインドがあり、何か起これば常に対策、何かあれば常に改善という活動がおこなわれる必要があり、その一部がリスクマネジメントであるわけです。他の業務改善事項のなかで、もっとも重要なもの。それがリスクマネジメントであるという理解をすることが適当です。

 マニュアルをつかっていても、生産性をあげるためには…、コストを削減するためには…、より質をあげていくためには…といって業務改善がおこなわれる。クリティカルパスを使っていてもバリアンスが発生。システム要因、医療従事者要因については業務改善の対象です。

 もちろん患者要因であっても対処することができるはずですし、社会的要因であってもディスチャージシステムのなかで解決されるはずです。教育をしていても、Aさんが仕事ができない理由は、Aさんの個体の問題であるとともに、Aさんがやり易い状況がつくられていないからだということでの対応が業務改善として対象となります。

 で、リスクマネジメントですが、RMが支援しながら現場で、なぜこうなったのだろう、手順は、動線は、チェックは、牽制は、正しく行うための障害はなにかを探索します。原因が認識できたら、どうすればそれを解決できるのかを考える。マニュアル化する。定着させるためにチェックシートをつくる、中間管理職を教育する。スタッフを教育する、といったながれがつくりあげられます。

 部署で解決できない課題は、組織全体で解決しなければなりません。制度や仕組みの問題は病院全体を動かし、業務改善いや業務改革をしなければならないことになります。GRMが全体としてリスクマネジメントへの取組を行うことになります。
 まずは現場が、積極的に業務改革の一部として、自然に対策までつくりあげられるよう訓練される必要があるのです。

 形式ではなく実質的に対応すること。それが積極的なリスクマネジメントの本質であり骨子です。

 業務改革のできない組織は必ず医療業界から駆逐されます。医療制度改革は本気で行われ、ベッド数の削減を大きく行おうとしているからです。なお、追い討ちをかけるように、消費税17%という想定が一部にあるとテレビが伝えていました。増税か個人負担増かという議論ですが、でていくキャッシュがあるということには変わりなく、どちらにしても病院には厳しい状況が続きます(続く)。