知的労働集約的産業である医療においては生産性を上げることができなければ、より高い成果をあげることができません。いっぱいいっぱいの体制で医療を進めているのであれば、現状をより生産性の高いもととしていかなければ新しいことができないのは明白です。
従来業務を短い時間で提供できれば、余裕が生まれ自動的に一定の時間内での患者に対し提供する医療の質の絶対値は拡大します。
これは一単位(時間)当りの成果を拡大することをいっています。とりもなおさず医療の質向上の結果であり、生産性をあげるためには医療の質を高めてなければならないということが理解できます。生産性向上=医療の質の向上というロジックです。
一方で、このことは効率が向上したともいえます。一単位当りの成果の算出量が増加すれば、ある生産量を得るためのコストは低減するからです。
生産性向上を考えるときに最も身近なテーマは残業(時間外労働)です。時間外の管理を行うことは、初期の目標を達成しつつ時間を所定の範囲に抑えること、そしてそのための業務改革を誘導することを目的としています。
時間外労働を行なうときには、なぜそれが必要なのかを明確にします。
- 何をしたいのか
- それは時間外で行う緊急性があるのか
- 重要度はどうか
- 時間内にできないか
- できない理由は何か
- どうすれば時間内にできるようになるのか
を考え、仕事の仕組みの見直し、個人の技術技能向上のための取り組みを行うことが求められています。
なお、ある業務を時間内にできない理由は多様です。日々の業務に
- 優先順位をつけ
- 段取りを行い、
- 業務を行うに必要な環境整備や
- 評価・教育を行い、
- 適切な役割分担を行い
- スケジュール通りに行動する
ことで問題解決を行うことが一般的です。
1-6の個々の項目は奥深く掘り下げた議論が必要ですが、計画的に行動する訓練を行うことで日常発生する課題を円滑にさばけるようになると考えています。
一定の残業代を給与の一部として考え、削ることができない職員もいると思いますが、付加価値業務を時間内で行える能力向上や成果の評価は業績給(賞与)で、また能力給により給与を補うことで問題は解決します。
時間外労働の削減による職員の所得減少の不安をなくしつつ働き方改革を行い、標準化、簡素化、廃止、移管、外注化等日々の業務の改善による生産性向上も並行して行う、といった組織の質を高めるマネジメントが求められています。