いままで書いてきた行うためには、総務におけるデータ収集、総務における部署責任者との面談、スタッフとの面談、整理、さらなるデータ整理、課題の発見、対策立案、といったながれをつくりあげていく必要があります。
但し、一つのことについて作業を行い、その結果どのような成果があげられるのかを常に意識して仕事をしなければなりません。したがて、作業を行う時間が多く、得られる結果が少ない項目については、両者すなわちかけたコストと得られる成果のバランスをとった行動をしなければなりません。
上記6までの作業について、最終的に犠牲と効果という考え方を以って、どこまでやるのかを決めてもらえればと考えます。
今後時間外の数値を収集していくにあたり、上記をまず理解して下さい。そのうえで、手順にしたがった作業を行い、単なる時間外管理という視点から、業務改革による、質の向上による時間削減を目指した活動が行えるよう現場を誘導します。上記のまとめになると考えますが、
①各部署別の時間外の推移
②時間外が発生している原因の把握
③原因を排除するための対策の現場との議論
④方向決定(時間外の枠=何時間までは承認する、ということをここで決める)
⑤決めた範囲(=時間外枠)に時間外が収まるよう業務改革の実施
⑥総務からの現場支援
⑦結果として時間外の短縮(=枠の範囲に時間外を抑える)ということが実施されなければなりません。
時間外の管理には、したがって、
①部署別の時間外の昨年対比、累積時間外の月次枠対比
②一人当たり時間外
③一人当たり最大時間外時間
を少なくとも収集しなければ目標を達成することができません。勿論、固有名詞で、誰がいつも時間外が多いのかということがわかれば、個人の問題解決までその部門の上司に指示を出す必要もあります。
と同時に、上記であげた時間外の原因となる事項の統計をどこかでとる必要があります。例えば
①患者数の推移
②検査数の推移
③撮影回数の推移
④職場の人員数の推移等々
がそれらです。
さらに、管理を毎月行う項目、3ヶ月単位で行う項目、6ヶ月単位で行う項目等、情報を収集し判断するタイミングはいつであるのかについて議論する必要があります。
いずれにしても、時間外管理は単に時間外を減らしなさいということではありません。職員一人ひとりの生産性(1時間当たりどれだけの成果をあげることができるのか)を向上させることの結果として時間外をなくす、ということが王道です。
時間外を管理する総務はそうした考え方をもったうえで、あらゆる角度から業務改革を誘導することが期待されます。
なお、今回の話は現場の理解や納得が得られなければ何の意味もありません。まずはいま、コスト全般の節約について全職員が意識をもつよう説明すること、責任者と納得がいくまで方法を詰めること。そしてそれを達成するために病院として、総務として何を支援していけばよいのかについて検討し、現場の業務改革への道に入る必要があります。
また、データを出す期日は他の数字がでる時期で良いと考えています。バランススコアカードの指標と併せ分析を行える体制を整備していくことが適当です。
時間外管理を行なうことは、単に時間外の時間を削減しようということを目的とするのではなく、自らの仕事を見直し、自らの力不足を認識し、そして組織としてどのように質をあげ生産性を向上させていくのかという活動であることが理解できます。
いま置かれている環境のなかで、この問題を解決しなければ、病院は次に進むことはできないと考えています。
「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」