3.報酬・報奨環境
医師が働きやすいと感じるもっとも重要なポイントは報酬です。また評価です。これは医師だから懸命に働かなければならないということは別次元の話です。
医師も人です。医師を神聖視するのではなく、人として普通に考えれば、モラルの欠如ということではなく、当然のこととして、やはりやったらやっただけの報酬を得ることができる環境をつくりあげることが期待されます。
いわゆるインセンティブ制度を導入するということです。インセンティブ制度とは、ある一定の診療活動以上の仕事をするのであれば、その部分を変動的な報酬とする、ということを意味しています。
最近では麻酔医の先生が年間600件を超えたら一人○万円といった報酬を得るということや、産婦人科が月間30名以上分娩をした場合には、○万円といったことで報酬を支払う契約をしている医師が多数います。
何人患者さんをみても、報酬が同じであれば、人であれば誰でもモチベーションを下げます。一定程度満足できる報酬を得たのちであれば、報酬には拘泥しないという領域もあるとは思いますし、また報酬には一切日常的な興味を示さない医師もいるでしょう。しかし、彼らをベースに報酬制度を考えてはいけない、といことがいわれています。
職員は賞与にて、そして医師についてはインセンティブ制度で報いていく。そのことで、医師がやる気を出し、より地域貢献することができるのであれば、インセンティブ制度はおやすいごようです、といった領域に入っていくことができます。
目標値の設定やインセンティブの範囲。全体としての確保すべき利益を得ながら医師給を増額する(実はインセンティブ制度をとるか、通常の報酬でいくのかについて医師が選択する)ということについての病院での財政からのシミュレーションを行なう必要があります。
開業した医師が午前1時までムンテラ、朝まで読影といった仕事をなぜできるのか。それは自らが主体的に動けることや収入があがることが理由です。したがって病院であっても、仕事ができる環境づくり、潤沢な報酬があってはじめて医師のモチベーションが向上できる可能性があるという考えかたです。
医師を経営参加させ、マネジメントにおいて主体的に指示を出せる医師をどのようにつくりあげていくのか。病院としての戦略や具体的な活動が注目されています(続く)。
「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」