よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

ある病院で教育の話題になったときの話

 教育を蔑ろにしている病院幹部とのミーティングでの私達の発言です。


 忙しいから教育はできない、という理解は自らの医療を否定するようなものです。教育をないがしろにしていれば、無駄を排除できず、リスクを抱えたまま業務を行なうことになるからです。

 1日15分の時間をとることがそれほど困難なことでしょうか。当病院には30分を無価値に過ごしている人が皆無だということなのでしょうか。
   
 忙しいという定義や概念が人それぞれ異なることや、かつ完全に勤務時間を無駄なく過ごしている人がいないということから、15分や30分の教育の時間を捻出できない筈はありません。病院として教育の必要性を認識しているかどうかを確認しなければなりません。

 力がないから忙しい、知識や経験がないからうまく早く処理できない、のではないかという疑問をなぜもてないのか、とても疑問です。

 とりわけ医療機関は仕事の仕組みの見直しや教育に力を入れることが当たり前であること、それを期待して前向きで学習意欲がある看護師が集ることに、貴院の考えが及ばないことを、我々は危惧しないわけにはいきません。

 マニュアルを利用した職場内教育や、現場で起こっているインシデントやアクシデントについて、さらに計画的に実施される集合教育なしに病院のオペレーションの質を高めることは不可能です。

  再度教育の必要性をトップが理解しなければなりません。マニュアルを利用した業務改革を進めることや、個人の教育のために個人カルテやナレッジマネジメントの基本であるマニュアルを利用することなど、既に方法は提案しているので、どのように院内で進めていくのかについての議論をしていただくことが必要です。

 職務基準をマニュアルをベースに作成することも、視野に入れた活動を行わなければなりません。

 なお、業務改革を仕事の中心において活動した病院は、自然と教えあう文化ができ、スタッフの定着率が飛躍的に向上しました。



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