よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

ミスサイゴンの人生

ミスサイゴンという舞台を帝劇で見ました。ベトナム戦争のとき、米兵クリスと、クラブで働く17歳のベトナムの女性キムのラブロマンスです。

白血病で亡くなった本田美奈子さんが主役だった舞台です。ソニンや知念、新妻などがあとを引き継いでいます。その日は知念さんがキムでした。

恋に落ちると、ほどなくサイゴンも陥落し、ベトナムからクリスは無理やり撤退させられてしまいます。3年の歳月がながれ、キムはクリスの子供と彼を待ち続けています。

キムは必ずクリスが戻ると信じ、昔親が決めたベトナム軍の将校との結婚を、拒みあまりにも執拗な彼をクリスから預かった銃で殺害してしまいます。

クリスはずっと過去に引きずられ、悩みながらも、悲しみから逃れるために、やり直そうと祖国で結婚してしまっていました。米兵の残した子供を救う団体がキムと子供を発見し、クリスはバンコックに逃れていたキムに会いに行こうと決めます。

しかし、妻にすべてを打ち明け、いまの生活に納得しようと妻と二人でキムに会いに出かけるのです。
悩みながらも、戻る意思をもてない、クリスに会い、クリスの妻の幸せを願い、そしてクリスの幸せを守るため、子供だけを引き取るように夫婦にお願いをしたのち自分に向けたクリスの拳銃の引き金を引いてしまいます。

瀕死の状態で倒れた金は、クリスの腕のなかで、抱いてと、小さくつぶやきます。3年も恋焦がれ待ち続けたクリスに、最後の最後に、そうして欲しいキムの気持ちを思い、涙が溢れて仕方がありませんでした。いまでも思いだすと胸からこみ上げてくるものを抑えることができません。

クリスはヒシとキムを抱きながら、声にならない、これ以上はないという悲しみを表情いっぱいに表し、時代の犠牲となった自分のふがいなさを嘆くのです。

戦争の悲惨さをいまさらいうまでもありませんが、キャストそれぞれの生き方や葛藤、希望、そして選択といったものに触れ、ほんとうに感動しました。

そして、時代を懸命に生き、命をかけて正直に生きようとする戦場の人々を目の当たりにして、思わず自分を振り返りました。

いま、自分はどのような人生を送ろうとしているのか、数分のことでしたが、叫びたいほど心が苦しかったのを覚えています。

あまりながくない人生、単に生きるのではなく、自分のためだけではなく、命を燃やして生きることができるよう、日々自分を見つめ直していかなければならない。と戦場を後にしながら強く誓ったのでした(その気になりやすいので…)。


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