よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

勝ち残る5段階で進めるDPC戦略(6)

3.横断的段階 循環型医療介護のシステムづくり
なお、DPC病院は地域のなかにおける連携をより強化していく必要があります。それは前述した増患ということだけではなく、退院支援の観点からも説明することができます。

当たり前のことではありますが、DPC病院は退院する先が確保されてはじめて入院することができるからです。

当たり前のことではありますが、増患とディスチャージがうまくできて、患者さんがその患者さんにとっても最も適した場所で治療や介護を受けることができていないことが多くあります。

急性期、回復期、維持期という医療の各段階と、施設や在宅における患者さんの移動はとても重要な意味があります。

それらは特定したながれのなかで成り立つのではなく、また、一方通行ではなく、複雑に絡みあいながら、関係をつくりあげていきます。どの場所でどのような医療やサービスを受けることがベストであるのか。

患者さんの全状況を早期に把握し、あらゆる手段を活用し計画的かつ安楽にそうした場を得ることができるようシステムがつくりあげられなければなりません。

第1段階から第5段階すべてをカバーするかたちで、循環型医療介護が行える体制を整備していかなければならないと考えているのです。敢えていえば、この部分は独立して議論すべき重要なテーマであるということができます。

4.結論
DPCは、単なる出来高に代わる包括請求制度であるというものではありません。
明らかに医療の原点回帰を促す医療改革ツールです。

多くのDPC病院で、DPCがあることにより、医療の見直しを行い、疾病別の治療内容の見直しを行い、パスを見直し、在院日数を見直し、医療の質を担保しながらコスト削減を行いました。


業務の見直しを行い、個人のスキルをどう高めていくのかについて真剣に考え、懸命に医療を守ろうとしています。

DPCが求めている本質を理解せず、単に包括医療という捉え方により、ベンチマークをすることで表面的な診療行為の削減だけしか行えない病院は、結局のところ医療を継続していくことは困難です。

自院は上記5段階のどの段階にいるのか、また、各段階で行うべきことを行っているのかについて十分に議論しなければ取り返しのつかないことになります。

医師への情報提供やブリーフィングシステムを通じて、医師を中心とした医療原点回帰のための良心を取り戻す闘いを行うことが必要です。

診療行為カットやベンチマークにとどまらず、DPCの求める本質的な活動を展開する活動を共に行っていきましょう。

5段階のDPC病院戦略構築は、ホワイトボックス社にご相談ください。



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