よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPCセミナーin 大阪

本日は、監事をさせていただいている日本DPC協議会の大阪でのセミナーが大阪リバーサードホテルで開催されました。
 
協議会副理事長である古城先生の開会でスタートしたセミナーでは、医療イ適正化計画と病院の将来像として大西証史医療費適正化対策推進室長から講演をしていただきました。

マクロからの医療の現状を俯瞰して、これからの医療制度の方向をお話いただきました。

折りしも今朝の新聞に後期高齢者医療廃止という記事がでたあとで(大西室長のレジュメには後期高齢者医療の説明も含まれていました…)ご本人も、新聞記事ではじめて事実を把握したというように話されているなかでのセミナーでした。

そして、われらが国際医療福祉大の高橋泰先生に、大西室長のご説明の解説をも含め、実は医療はこれを目指しているという先生の考え方を非常に分かりやすく説明していただきました。

高度急性期医療=DPC+亜急性、そして地域一般病床、療養病床という考え方を二階建て方式として説明していただき、医療のスリム化、ベッドのスリム化をベースに一般病床も包括化に向かうということの確認をさせていただきました。

そしてDPC病院は、調整係数が医療費の削減を調整するかたちで、機能していることを丁寧に説明していただきました。

午後には、赤穂中央病院の古城先生を座長とした調整係数廃止後のDPCの姿というテーマでシンポジュウムが開かれました。

仮に調整係数を廃止すると15%医療費が下がり、99%の病院は即死するという話でスタートをきったシンポジウムでは、浜脇整形外科病院の浜脇理事、新須磨病院の澤田先生、そして、加納総合病院の加納先生から、それぞれ貴重なお話がありました。

浜脇理事からは、単科病院として業績をあげているが、DPCは総合病院を優遇しているということや、
税金を払っている病院とそうではない病院、補助金を受けている病院の同じレベルで点数を考えるのは不公平だという指摘がありました。

また、澤田先生からは、手術をたくさん実施することで、収益確保を行っている事例としてDPCを導入するときの苦労をご説明いただきました。

さらに、加納先生からは、二次救急は民間病院が大半を担っていること。そしてそうした体制をとることで地域医療を守っていること。さらにそうした体制を整備するためにはコストがかかることをエビデンスをベースとして説明をしていただきました。

シンポジウムでは、調整係数がないあと、機能係数をどの部分で手厚くするのかというテーマで議論が始まりました。プロセスか、質かという議論でしたが、結局質の評価をして点数を厚めにしていくとうことについては意見が整理されず、これからの課題になりました。

自治体病院政策医療をするのであれば、そうした色を強くだせるようにして欲しいということや、業務改革に必死になって取り組んでいる民間病院とそうではない病院が多い公的病院とを同じテーブルに載せるうことはおかしいという議論が再度行われ、盛り上がりました。

いずれにしても現在の調整係数は病院の機能の評価をした結果の係数ではないこと、しかし、調整係数があることで、医療費のマイナスをカバーしていること、廃止されたあとには、大変なことになるという認識がセミナー全体でよく理解できた思いがあります。

私のクライアントもいくつか出席していて、休憩のときに意見交換をすることもできました。

日本の医療をどうしていくのか、自分の病院の利益をも考慮しながら、しかし日本の医療をどうするのか、どうしていくのかという議論ができていたことは素晴らしいと思います。
浜脇理事の、もう誰もたすけてくれない、自分達が改革をして生き残っていこうという言葉が耳から離れません。

そして最後に、日本DPC協議会の理事であり、大阪セミナーのアレンジをしていただいたベガサスの馬場先生が、閉会の話をされました。

馬場先生は大変な時代にエビデンスをもって科学的に厚労省に意見を出していこう、そしてよい医療をつくっていこう、日本DPC協議会に多くの病院が加入していただき、一緒に活動していきましょうということでまとめていただきました。

10時から16時までの長丁場のセミナーでしたが、あっという間に終わったという思いがあります。

ここで話をされたアクティブで、そして志をもった先生方の病院のような病院が増えれば、日本の医療は本当によくなるのではないかという感想をもちました。

いずれにしても、これからの医療を常にウォッチし、生産性や医療の質をどう高めていくのか、そして日々現場でどのように行動していけばよいのかについて考えるよい機会にできればと考えています。



「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」