本年の4月に個人情報保護法が施行され、病院はさまざまな取り組みを行なっていくことになりました。一般に想定できることは簡単に言って、入手した個人の情報を診療及び治療以外に使ってはならない、それ以外の用途に漏洩してはならないということでの対応となっています。
しかし、個々の患者さんにとっては、そうした制度のもとで保護されることもさることながら、ある部分かぶっていますが、プライバシー保護についての整備が進んでいないようです。
患者さんが求めているのは自分の情報が外部に漏洩されるかもしれないという不安よりも、今、ここで外来の椅子に座っている人に自分の病名や詳しい内容がわかってしまうことのないようにして欲しいということではないでしょうか。
個人情報保護法の整備といったことは一定のルールを作成し、教育を徹底することで一次的には完了するとすることが適当です。電子カルテやオーダーリング、レセコン等電子情報に対するセキュリティーについて徹底してこれを整備していくことを行なえば、法律に抵触するといった部分はなくなります。
しかし、前述したようにプライバシー保護の軸足からこれらをみていくと、次の点が必要です。例えば、
①診察室に名前で呼ばれない。銀行のように番号札で呼ぶ
→可能ですね。すでに実行しているところがあります。但し番号でありながら、それは受診まで
あと何人いるという意味での利用で、やはり看護師さんが「次の方中待合室におはいり下さい。
○○さん、△△さん…」とやっています。
②待合室が待合室に来る者以外からは見えない
→外来廊下から透明のパーテーションで椅子に座っている人がだれだかわからないよう分離されてい
る
③中待合室で、診察室の声が聞こえない。壁を厚くするか、中待合室を廃止する
→引き戸にしても、以外と聞こえます。
④中待合室で看護師さんの指示が他の患者さんに聞こえない
→それでは、こうなので、この検査をして…、て何の病気かわかっちゃいますね。
⑤薬を受け取るところで、個人への説明が他人に聞こえない(院外であっても同様)
→そこで服薬指導でもされようものなら全部わかりまくり。
⑥検査室でも名前が呼ばれない
→ここでもNOで呼ばれ、例えば名前を書いてもらい、スピッツの名前が正しいかチェックしてもら うといったことに代替できます。
⑦診察室のなかで他の診察室の声が聞こえない
→ハード的なものが要因です。
⑧病棟で患者名が表示されない
→お見舞いの方がいらっしゃると名前がでるといった対応はユニーク
⑨個別に患者の話をしない
→外来、病棟で患者さんに触れる話は一切ご法度。
⑩伝票や指示書、○○箋といったものの氏名と内容が同時に閲覧できない
→名前と指示の部分について、紙が折られていれば達成できる。但し、折る手間、披く手間、戻す手 間が必要となります。
等々、さまざまな場面で医療従事者以外に、自分が誰で、どのような疾患であるのかについて把握できない仕組みがそれらです。
(ドクタートレジャーボックス・インフォメーション一部修正)