よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

高橋泰教授との会食

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 昨日は新宿で高橋泰教授を囲んでの会食会がありました。T病院の理事長、院長他数名の方に新宿までご足労いただき、夜景を見ながらの会合になりました。高橋泰教授は最近足をけがされていて、初めてギブスをとっての会合だそうです。

 国際医療福祉大学の高橋泰教授といえば亜急性期の解説や、医療療養病床の医療区分をつくったことで有名ですが、それ以上に今の医療制度改革の基本となる方向性を厚労省の官僚に懇切丁寧に説明し続け、結果的に今の医療制度改革の基礎をつくることに成功したことが特筆すべきことであるといわれています。

 高橋教授のつくったPPTがそこらじゅうで使われているそうですが、アニメーションがとても面白く、とりわけDPC病院や亜急性、さらには回復期や在宅の方向を2003年に示したPPTは現状と全く同じ状況であり、いかに彼が現状の医療制度改革を予想し、かつそれに向かって意見を言い続けて来たのかを示すエビデンスとしてこれらを見ることができます。

 国は1970年代をベースにベッド数を考えています。それぞれの立場にある病院は包括制度のなかでどのように自院の価値を社会に提供し続けることができるのかを真剣に議論しそれを達成できる組織をつくりあげていかなければなりません。

 すぐれた病院のリーダーであれば当然に行っているマネジメント不在の病院は、いまからでもこれからの医療制度改革の方向を明確に認識し、何を今行うべきであるのかを徹底して議論することが必要です。

 当社には多くの銀行から要注意先案件へのDD(デューデリゼーション)とその後のコンサルティング依頼がありますが、自助的に行動を起こせない病院が残れるはずもありません。
 医療従事者として職員全員が現場の仕事だけではなく、地域医療全体に思いを馳せ、自らどう動いていけば病院のもつ課題を解決することができるのかを真剣に考える必要があります。病院はそうした現場の声を吸い上げるシステムを構築し、議論する場を用意し、医師を中心とした経営管理体系を徹底的につくりあげていかなければなりません。

 実は今日も、滋賀県にある病院の理事長はじめ幹部6名がDPCの勉強会で東京にいらっしゃり、先ほどまで弊社の近くのホテルで会食をしつつ、これからの病院経営について議論をしていたところです。

 毎日多くの医療従事者と、そして医師や看護師さん真剣な議論を繰り返すなかで、医療と財政のバランスをとりつつ、地域医療にどのように貢献すべきか、というテーマに対する答えを得ることができたような気がします。

 行うべきことを明確にして、DPCであれ、回復期であれ、亜急性期であれ、そして療養型病床であれ、それぞれの機能を最大限発揮できるよう努力していけばよいと思います。概念ではなく、具体的な手法をどのように組織で展開するのか。

 形ではなく実質的に成果をあげていけるのか、いつまでに完了するのかについて徹底した取り組みをしましょうという結論でした。

 皆真剣に、そして心からの契りをもってこれから短期間に改革をしていこうというコンセンサスが最後には生まれていた気がします。今は新幹線のなかでしょうが、来週またお伺いし、業務改革プロジェクトの活動がまた一歩進み、少しでも実感できる成果を得ることを期待してペンを置きます。

 なお、滋賀のこの病院も、高橋教授の後援会の順番待ちをしています。