よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院再生銀行セミナー(日本医療企画主催)

イメージ 1

イメージ 2

 先週23日は、「最新医療経営フェーズ3病院マネジメントセミナー(1)」と銘打ち日本医療企画の主催で銀行セミナーを開催しました。病院が数多く倒産するなか、病院はどのように債権を保全するのか、また、そうなる前にどのように病院を支援していくのかについての勉強会です。

 多くの金融機関が来場し、47人の方がクリティカルパスについて(それもバリアンすまで)リスクマネジメントについて、マニュアルや教育についてまで学習しました。それは病院の実態を金融機関の方に知っていただくためです。さすがに記入機関の方々が看護プロセスまで勉強するセミナーはあまりないでしょう。
 私は元銀行員でもあり、審査の立場から病院をどのようにみて、事前に与信判断を行うのかについてのホワイトボックスの考え方を説明しました。

 いくつもの銀行やその他の機関からご連絡をいたただき、すでに具体的な案件の対応がはじまったところもあります。

 内容の要訳は以下の通りです。

 医療はとても大きなマーケットである。今が大きな変革期であり、これからどのようになるのかが不透明。しかし、現実として多くの病院が業績を落とし、ぎりぎりのキャッシュフローのなかでの経営を強いられている。

 金融機関としては、よい病院として残る病院を早期に発見し、よりよい病院としていくとともに、取引拡大を狙う。また、よくない病院はこれから淘汰される可能性が高く、したがって早期に回収するか、大きく支援するかを決定し、行動する必要がある。常に医療機関をウォッチし、変化をタイムリーに把握していかなければならない理由がここにある。

 よい病院とよくない病院の見分け方を組織内にビルトインすることが求められる。今回の資料はその一助。
 さらに、医療に対する金融機関としての戦略や戦術を明確にしていく必要がある。

 医療マーケットには、ポジティブな領域では、
①病院の大型化に伴う建替えや増築、拡大への方向

②亜急性や回復期への転換

③ベッドが削減された後の受け皿としてのメディカルホーム

④在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションによる地域医療の拡大
といったテーマがある。

 とりわけ急性期医療はDPC病院や門前のメディカルホームにシフト、維持期は診療所を巻き込み、地域のメディカルホームにシフトするなど、大きくながれが変わる。
従来医療を事業マーケットとしていた建築、設備、IT(システム)、消耗品、薬剤、医療機器、派遣、医事や給食、警備、清掃などの委託サービス、その他会社は、大きく戦略を変化させざるを得ない状況となる。

 金融機関は、医療を動態的与信を継続的に実施するなかで、その内容を詳細にみるとともに、医療介護をとりまく事業全体の大きなながれを掴むこと。
そのことにより他の事業体に対しても適切や与信を行うことができるようになる。

 また、ネガティブな領域としては、
 ①さまざまな業態の病院が淘汰される(民事再生や破産のケース増加)
 ②貸金保全のためのあらゆる手を事前に打つ必要
 ③単体での再生は困難。したがって単体で救えない病院に対しては、地域医療再生のなかで自行取引先の再生、そして回収というながれをつくらなければならない

 通常の与信を静態的審査による与信だけではなく、動態的審査による与信にまで拡大。回収のための努力を怠ることはできない。

 財務諸表だけでの与信はもともと危険であることに留意。

 大型融資案件についてはDDを行うなかで積極対応するなどの手法をとるとともに、医療制度改革が出尽くし、医療マーケットが安定する段階(少なくともあと6~7年以降)に至るまでは、動態的審査を導入することで、より精緻な審査体制を構築しなければ、「安心することができないマーケット」であることを忘れてはならない。
 

 といったことを説明しています。

 単体病院での病院再生はなかなか難しい。地域医療再生のなかでの単体病院再生という方向を打ち出しています。これから、病院側も、マネジメント能力を高めていくとともに、銀行もより病院を理解し、徹底した支援ができる体制をつくりあげていくことが必要であることを、自分でも確認することができたセミナーでした。

 なお、ホワイトボックス社では、病院再生サイトhttp://www.byoinsaisei.com/aboutus
を立ち上げていますので、チェックしてください。

徐々に内容を充実させていくことになります。