よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

常に前向きに

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 冬の寒さを嫌う人でも、暑いさなかに氷をいやがることはないでしょう。銀座中央通りの歩行者天国に展示された氷の彫刻の前には黒山の人だかりでした。場所とタイミングが変われば、あるときには嫌なものでも好かれる、ということだと思います。

 あるときにはいやなものが、あるときには好まれる。また、いやな人にはいやなものが、そうではない人にはいやではない、といったものが数多くあります。

 たとえば価値のある情報であっても、必要な人には望ましいものであっても、必要賭していない人のためには何の役にも立ちません。

 話は変わりますが、私たちの仕事である病院コンサルティングのなかで、経営改革を進めていこうというときに、この機会を借りて自らが成長しようという思いのある人の意識と、仕方なくやらされていると思い時間を過ごす人では取り組みの姿勢が異なります。
 
 絶対的な価値があるものであっても、その価値は、受け取る人により決定される、ということは当たり前といえば当たり前であるけれども、日々の病院における仕事のなかで、それをよく考えるようになりました。

 研修機会であっても、学習していこうという意欲のある人にとっては有効であっても、そうではない人にはいやなものであり迷惑なものなのでしょう。
 
 先日もある病院のW先生が治験で稼いだお金で、自分の診療科の看護師に、こういったそうです。

 「君たちにも還元することにしました。経費をすべて出してあげるので、勉強に行って報告してね」と言ったところ「報告しなければならないんだったらいやです」という看護師が続出したと嘆いていらっしゃいました。

 ある病院には、病院が経費を負担してくれないので自費で勉強にいっている看護師がたくさんいます。
 向学心に燃えて、とにかく勉強したいというスタッフのいる病院です。場所や病院が違うと、こんなことなんだなと思ったのでした。
 ちなみに後者は前者とほぼ同じ規模の病院ですが、かなり急性期で入院日当点は前者の1.8倍です。

 病院の勢いがスタッフに伝播しているのだと思います。

 医療を支えることが大変なときに、病院はスタッフの意欲を引き出し、そしてあるべき方向に誘導する必要があります。価値のあるものを、あるいは価値をつくりださなければならないものを「常に」前向きに受け入れることができるスタッフを数多くつくりあげるために…。