よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院マネジメント研究会の開催

 日本医療企画主催で銀行向けのセミナーを7月の終わりに開催しました。結果多くの金融機関などの方々が会場に足を運んでくださり、その後、出席された会社から、お問い合わせをいただいたり、ミーティングをさせていただくなか、具体的な活動に入るところも増えてきました。

 今回は、弊社会議室において、十数名での病院マネジメントセミナーを開催しました。7月のセミナーの出席者の方々以外の金融機関等の出席を得て4時間弱の勉強会が開催され、病院の現状を知り、マネジメントを徹底して行える知識の一部を習得する活動が開始されました。

 医療を理解し、現ビジネスのなかで、病院をどのように支援するのか、それぞれの目的をもちながらも、まずはマネジメントの詳細な部分での知識習得を行いたいという参加者の思いが我々にも伝わってくる、そんな我々にとってもやりがいのあるセミナーだったと思います。

 以下は、弊社が参加者に提供した資料の一部です。

 「医療崩壊といわれている。その原因は診療報酬が下がったこと、医師不足、看護師不足であるといわれている。

しかし、正確にはそれらの単一的な現象だけではなく、背景に隠された原因により経営が立ち行かなくなっていることを認識しなければならない。マネジメント不在が、キーワードである。もちろん、さらにその深層には、医療従事者のメンタリティーの変化がある。医師は赤ひげ先生から遠ざかり、現代に生きる看護師はおもったほど白衣の天使ではないことを思い知る。

医師や看護師の数で医療を語るのではなく、彼らがどのように医療や看護を考えてはじめているのかといった変化について語られていないのは不合理である。現在、社会で議論されている医療がいかに薄く、本質論を捉えていないのかについてまず認識し、そこから病院マネジメントを学ばなければ、病院のマネジメントは単なる経営学の領域から脱却することができない。

病院のマネジメントは一般のマネジメントの源流をもっているものの、そこに一定の価値観と精神性を湛えている。これらについての理解ができなければ病院マネジメントを学ぶことができないし、医療固有のマネジメントの存在にも気がつかない。

病院マネジメントは、そうした点で、単に経営学や管理論をそのまま応用するだけでは、ものにすることができないのである。

ただ、一方で一般のマネジメントを理解していることで、より病院マネジメントの輪郭を見ることができるということは事実である。まずは一般のマネジメントを想起して、病院マネジメントを浮き出させるアプローチをとることは間違いではない」


 上記の説明から病院マネジメント研究会が開催されましたが、病院マネジメントの巧拙が医療の質を決定づけ、そして日本の医療を崩壊する方向に仕向けている元凶であるということを理解してもらたと思います。


 私たちは病院マネジメントを学習することにより、経営不在とはいわれないマネジメントを行える、または支援できる体制ができあがることを期待しています。