よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

朝の光のなかで

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 まだ陽の光も行き渡らない、朝の時を感じるために、私は街にでる。

 あれだけ喧騒であった場所は、静寂のなかで身をひそめ、静かに活動をはじめるまでの時を待っている。歩道には人一人歩いておらず、とても不思議な気にさせてくれる。

 ブランドショップが立ち並ぶ街並みは、無機質で何も語ってはくれない。店が息づいているのは、店のせいではなく、店に命を吹き込む店員の精神であることがわかる。

 何か目にとめてもらおうと、商品が陳列され、ディスプレイが行われ、そして気持ちが態度や姿勢に転換して客を呼ぶ。街は彼らの道具にすぎないのかとも思う。

 しかし、街は街で、主(ぬし)がいないあいだに息づいていて、しらない間にきれいな自分をみせびらかしている。昼になれば騒がしさにまぎれて存在感を失ってしまうのだから、いまのうちに自分を自分として確かめておきたい、そんな気持ちをもって街は息づくのだ。

 赤い花は、昼間にみるよりも、強くかほり、輝きながら、濃い色を視野に残す。透きとおった空気のなかで、花も主のいない街をいろどる主役でいるのだと思う。

 私は足をとめて、ひとひらの花弁に指を添え、息づく命にすこし触れてみる。自分もこの街のどこかでしっかり息づくすべを知るために…。