よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

間近なエンジン。マジカな病院

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 いや~でかいです。今日は函館に出張で行きましたが、飛行機のエンジンを間近にみることができました。遠くからみるとあまり感じないのですが、近くで見るとでかいです。

 でかいというよりも、その機能を思い浮かべると、その重みが伝わってくるようです。
 
 このエンジンが多くの命を預かり、そして目的を達成するために貢献する。どの組織にもエンジンがあります。病院の場合は、職員の思いだったり、経営者のリーダーシップだったり、もちろん医師の献身的な貢献であったりします。自分が病院のエンジンである、と自覚するかどうかで、誰でもエンジンになりえるのではないかと思ったりします。

 医療の現場には、マネジメントが4つあることはすでに発表しています。マネジメントを4つに区分し、その一つ一つが適切に管理運営されているかをチェックする。これが医療を成功させるための要諦です。

(1)MM(メディカルマネジメント)
  現場のマネジメントであり、患者さんが来院したら適切に治療することがミッションです。

(2)DM(ディパートマネジメント)
  看護部やコメディカル、事務方などそれぞれの大きな塊の部署をまとめあげることです。病院は縦割りでありつつ横串のマネジメントが行われる必要があります。それぞれが機能を果たしつつ、連携しながらシナジーを生み出します。これができるかどうかで1+1は2以上のものができあがります。

(3)OM(オーガニゼーションマネジメント)
  病院全体のマネジメントです。DMをとりまとめ、MMに目を配る。経営方針を出す。事業計画をつくる。組織をつくる、体制をつくる、人員配置する、評価する、教育する、処遇する、道具を提供することや、モニタリングすることで、実績を掌握し、課題を発見、業務改革の方向を提示するといったことを目指します。

 とくにDPC病院は病院原価計算を行う必要があります。部門別のうえに患者別疾病別を行うことで利益を管理、PPM(ペイシェントケポートフォリオマネジメント)をどのようにつくりあげていくのかを決定します。この前提にはSWOTがあり、SWOTの結果と併せて戦略決定を行うことも重要なポイントです。結局は外部戦略と内部戦略のコントロールを行う、マネジメントであるということができます。

(4)DPCM(DPCマネジメント)
 DPC固有のマネジメントです。外来での実施事項の整理および人員配置。入院期間の管理、コスト管理、入退院管理はDPCならではのものがあります。そもそも収益のベンチマークはもう陳腐化しています。複数のベンチマークシステムを活用した他病院との比較や、その前提となるDPCと出来高の比較はDPCの初期のマネジメントです。

 DPCマネジメントの5段階進化についてホワイトボックスが公表していますが、DPCの進化のためのマネジメントを徹底して実施しない限り、DPCを医療原点回帰のシステムということができなくなります。

 上記のマネジメントについて、DPC病院はこれらがどのように機能しているのかをよくチェックしてみる必要があります。

 もちろん、(1)~(3)についてはどの業態の病院においても必要なマネジメントです。療養病床でも、回復期病床でもこのマネジメントのカテゴリーでの成果が求められています。

 皆さんの病院にはエンジンとなる職員がどれくらい存在していますか?

 真剣に改革に取り組んでいるのでしょうか(マジカな?)。

 覚悟してとりかからないと強風のなか、機体(期待)を維持することはできません。経営トップマネジメントだけではなく、職員一人ひとりの自覚が求められるところです…。