よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPCにおける看護部戦略

 DPCを運用していくにあたり、看護部は何をしなければならないのか。ある病院でのレクチャーをベースとして、ここに開示します。

1.はじめに
 看護部はDPCにおいてとても重要な役割をもっています。従来からの課題と併せ、どのような方針により看護部が活動をしていくのかについての議論を行う必要があります。

2.内容
 DPCにおいては、以前から説明しているように、以下の対応が必要となります。
(1)他科受診禁止
 入院してからの他科受診を行うことを避けるため、入院前に受診をしておくことを説明しなければなりません。

(2)持参薬管理
 薬剤を外来、あるいは他院でもらってから入院ができるよう説明するとともに、そのための対応ができていく必要があります(以下予定入院を中心とした業務の説明を行います)。

(3)術前検査の外来化
 入院してからの検査ではなく、外来での検査が実施され、かつセット化されている必要があります。

(4)クリティカルパスと在院日数管理
 疾病別に在院日数を管理して、Ⅱ期間までの退院を促すことができなければなりません。
 増患なくして在院日数の短縮ができないため、新患を増患すること、入院比率を向上させることが必須ですが、それらの対策と併せてこうした活動のための仕組みづくりを行う必要があります。

 クリティカルパスによるⅡ期間管理が行われる必要があります。現状調査からスタートしなければなりません。

 現状、入院診療計画書と退院時期の乖離調査、あるいは入院パスがあるものについては、適用率、パス日からの乖離率、Ⅱ期間からの乖離率を開示し、現状があるべきかたちからどれだけ遊離しているのかについての意識喚起をする必要があります。いずれにしても、パス委員会の早期の対応が必要です。

(5)入退院業務の円滑化
 入退院が円滑に進むよう、外来でのムンテラや入院時指導を行うためのフローチャートやマニュアル管理を行う必要があります。これらは上記(1)(2)(3)についての対応と同時にこれを行うことになります。

 なお、外来での入院説明のため、患者用パスの作成をできるだけ早期に行い、現場で使用していかなければなりません。

(6)ディスチャージプランニング(退院支援計画立案)
 退院支援のためには入院時に退院支援計画立案のためのリスクスクリーニングをも含めた仕組みづくりを行うことになります。実際に継続看護システムを導入していることをも含め、体系化される必要があります。

(7)リスクマネジメント強化
 アクシデントレベル2以上はⅡ期間から特定入院期間への移行につながるし、レベル3以上は病院が治療費を負担することから、以前にもましてこれらへの対応を正しく行う必要があります。

(8)看護プロセスの質向上
 上記を行うために、看護プロセスの見直しが行われ、早期に課題発見、解決が行われる必要があります。

 上記を実施するため、道具として
 ①マニュアル作成
 ②チェックシート
 ③職務基準作成
 ④教育システム整備
といった活動をさらに実施する必要があります。

 教育システムについては、計画的に体系を構築する必要があります。

3.まとめ
 上記についての対応をどのように行っているのか、また行うのかについて全体的な計画を開示していく必要があります。


 以上、看護部は少なくとも上記基本的な業務を行っていく必要があります。上記はできていそうでできていないことが多くあります。看護師が医師を支えるもっとも重要な位置にいていること、そして何よりも、患者さんにとって最も身近で、頼られる存在であることを忘れずに、DPCを活用して、よりよい看護をつくりあげていっていただきたいと、いつも考えています。