5.財務的な問題
支払いを現金で行うことで、値引きをしてもらうことや、また早期に支払うことで仕入割引きをしてもらうこともできる。
前者は損益計算上医業費用のマイナスで発現するし、後者は財務収入として雑収入で計上されることになる。
6.コスト削減のための仕掛け
コスト削減は、医療の質が向上することで達成される領域が大きい。コスト絶対額削減には限界があり、やり方を間違えると業者は次からは高いスプレトを出してくることや価格にオンしてくることもある。ウィンウィンの関係をつくりあげるためには、
今は問題であるが、利益がでれば…ということのヴィジョンを提示することが必要であるかもしれない。
これは職員に対してもモチベーションをあげるためには必要な事項である。しかし、それ以前に、BSCや目標管理制度を導入し、自院の戦略やヴィジョンを明らかにし、期限を決めて頑張ろうといったことについての投げかけを行うことが必要となる。
戦略明確化
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経営方針
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目標管理
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部署目標
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コスト絶対額削減・単位当たりコスト削減
といったかたちを理解しなければならない。単なるコスト削減、それもコスト絶対額削減だけで勝負するのはとても危険。次につながらない。上記で進めば、間違いなく医療の質に留意しなければならなず、職員のモラルは向上するし、動機は喚起される。医療と財政のバランスをとろうということについて説明をしていくことが基本である。
7.医療と財政のバランス
以下は職員に説明するときの代表的な文章。
「地域医療を守るためには、医療の質を向上させなければならない。したがって、それぞれの職種はそれぞれの仕事のなかで、標準化された仕組みをつくり、個人のスキルをあげるための教育システムを構築するとともに、マニュアルの整備、活用、クリティカルパスやリスクマネジメントの活用を徹底しなければならない。
そのなかでは業務改善と改革を繰り返し、無駄をなくし、仕事を平準化し、計画的に成果をあげていく必要がある。PDCAの考え方を日々の仕事に導入できているかどうかについて再度検討しなければならない。
医療の質を向上させ、コストを削減し、利益を出すことは、地域医療を守ること。
利益があがるということは患者さんからの評価の証でもあり、地域に欠かすことのない病院として認められることでもある。医療と財政のバランスをとり、医療が継続できる体制を整備していくことが必要である」(続く)