1.はじめに
DPC病院の増患について少し説明します。
増患には2つのものがあります。前回も説明しましたが、一つは患者さんが「来院したいと思う」病院にすることであり、もうひとつが病院をアピールすることにより「行ってみようと思わせる」ことです。後者には地域診療所からの紹介も含まれます。
この2つについての対応を行うことになります。
そのためには診療内容に比較優位をもたせることが必要であり、また患者にとり、大事にされていると感じられる病院でなければなりません。
なお、両者は実際上、不可分であり密接に関連していますが、便宜的にこれらを峻別し、区分して検討します。
患者さんはどうすれば来院したいと思うのか、どうすれば行ってみようと思うのかについて検討することで、WGが何をすればよいのかを理解することができます。来院したいと思う
2.内容
(1)診療的
①各診療科別に診療内容に強みがある(治療件数、医師人員、治療内容)
誰がみても強みがあるという状況をどのようにつくり出していくのか。SWOT分析を行い、コアコンピタンス(自分たちにしかできない得意なもの)をつくる必要があります。
過去の分析を行い、医師と話し合い、そのための患者を集め実績をつくりあげていくものや、過去の診療内容をくくり直して内容を整理することで足りるものもあります。
②治療の成果があがっている
実際に、ある治療により成果があがっていることが必要です。成果があがっているかどうかについてはデータをとり、医師にフィードバックしながら医師本人や診療科にも納得してもらうことになります。
勿論、それらはHPで開示することで実績を知ってもらうことや、学会での発表回数を増やすことで外部に喧伝します。
③医師が丁寧で納得できる
さしたる成果をあげていないとしても、患者はその場その場の対応に満足して又来院したいと思います。もっとも重要なことは医師の対応です。属人的な性格により患者さんと話がきちっとできる医師もいますが、
Ⓐそもそも人と接することとはどのようなことであるのか
Ⓑまた医師と患者はどのような関係をもつものであるのか
Ⓒどう対応すれば患者さんは納得するのか
Ⓓ何を順序立てて説明をしなければならないのか
について医師に体系的に学習してもらったことはないと思います。
そもそも、患者は無知であり、医師が知識を持っているという意味では、明らかに教えるものと教えられる者との関係ができています。
上記について医師が患者とうまく対応できる要素が揃っているにも関わらず、上記を順守しない、上記を無視する、患者とのコミュニケーションをとらないということにより、患者を嫌な気持ちにさせることがあるとすれば、それを避ける必要があります。
どのように医師にそれらを伝えていくのか、実際の評価を行い、課題を出し、それを伝えつつ事態を改善し、医師にも満足してもらえるようにするのか、といったことが本質的な課題として提示されています
(続く)。