空港は、朝の光につつまれ、とても荘厳な空気につつまれていました。
久しぶりの天気のなかで、新しい今日がはじまろうとしていました。私は決められた飛行機への道を進んでいましたが、あまりに自分を照らす太陽を、もういちどはっきりみてから飛行機に乗ろうと、通路の窓から外の風景に目を移しました。
強い視線のなかで、あたりのすべてのものはその姿を失いかけていました。
私もまぶしさだけではなく、圧倒される生命力に身体を押され、その場に立っていることができないほどでした。
太陽の差しだす光は、辺りを照らすだけではなく、また辺りに力を与えるだけではなく、辺りを睥睨するように自らの力を誇示しているようにもみえました。しかし、それは実は命かけて、万物に生命を与える儀式であるのかもしれません。全知全能の神である太陽はすべての命を生み出す源泉であるということが、いまさらながらに理解できる瞬間です。
私の身体は火照り、心底からエネルギーが満ち溢れてくるようでした。ほんの少しの時間でしたが、私は随分と感動し、また躍動する気持ちを持つことができました。この日は札幌への出張でしたが、飛行機の扉を越えたときには、飛行機とともに、天空を駆けまわる心をもつことができていたようです。
私がシートベルトを合わせると、ほどなく私と飛行機は、きらきらする朝陽を受けながら、大空に向けて、ぐんぐんと高く飛び立っていったのでした…。