目では見えない、あのような結晶がなぜあるのかは誰にも解らないのではないでしょうか。そうした思いがあるからかもしれませんが、単に物理的な白ということだけではなく、雪そのものが雪であるかぎり、美しいのだと思います。
また、雪が降る時期の静寂さや、季節がその背景をつくりだしています。雪が降る時期は、なぜか物悲しく、寂しいという思いもついてまわります。雪が降るとなぜか静かな心になるのは、遺伝子に人類のそうした思いが積み重ねられているからかもしれません。
しかし、雪はまた厳しさも併せもっています。
この病院の窓から見る五稜郭タワーは、雪にかすれて自らの存在を景色の中に同化させています。雪はいったん、すべてのものを覆い尽くし、そのなから自力ではい出してくるものを待っている。美しいけれども、それが雪の厳しさなのでしょう。
美しさは厳しさの表裏にあるものだということがよくわかります。
逆のことも言えるのでしょうか。厳しいことが美しい。これはケースバイケースですね。ということで、下の写真は、誰一人いない道を夜遅く、酩酊しているなか、雪の厳しさに負けそうになりながら、自分を見失わないようホテルに帰るときに撮ったものです。あぶないところでした…。