よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院審査基準説明(2)

3.解説
 病院収益は患者数×診療報酬単価で決定します。患者が増加することと、診療報酬単価をアップすることが病院収益を増加させるポイントです。

 診療報酬単価は、外来単価と病棟(入院)単価に分類できます。一人の患者から高い報酬を得るためには、技術料の高い手術を行なうことが必要です。手術がなければ単価アップには限界があります。
   
 また、病院のベッドを有効活用するためには、たくさんの患者さんに来院いただきはやく退院してもらうということが必要であり、ベッドがどれだけ埋まっているのか、そしてどれだけ回転しているのかについて調査をする必要があります。

 できるだけ早く退院してもらい手術の件数を多くする、そのために検査や撮影も必然的に多くなる、点数があがるというながれをつくることがポイントです。
 上記がどのように行なわれているのかを動態分析でチェックする、ということになります。
  
4.審査方法
 与信を与える段階で、情報収集シートを提示し、相手方に記入してもらいます。

 同様の規模、同様の標榜科目、地域といったものを斟酌(ベンチマーク)して、その病院が、
①平均より上で推移しているのか
②上から下に向かって推移しているのか
③下から上に向かって推移しているのか
④下止まりしているのか
⑤下から上に向かって動いているが平均よりも下であるのか
 などの調査を行います。

 例えば、平均に到達する、あるいは平均を超えて改善傾向にあるのであれば、過年度の財務データに課題があったとしても、与信については前向きに検討することや、また、平均を下回らないまでも悪化傾向にある、あるいは平均を下回り悪化しているのであれば、与信については一端ストップする必要があると考えます。
   
 なお、同時に過年度の財務諸表が入手できれば、直近の営業キャッシュフローが生まれているのかどうかを確認できれば、なおさらよいと考えます。営業キャッシュが生まれていないなかでの改善については、他の情報をも加味したうえでの対応が必要であるかもしれません。

 上記の傾向は、遅かれ早かれ必ず財務諸表に反映します。ただし、説明したようにプロセスで早期に判断を行なうこと、あるいは財務データを担保する、あるいは補完するデータとしてここで示す考え方を理解することが必要です(続く)。