
夜が明ける前に街をでて、久しぶりに帰宅するのは大抵深夜になります。
静寂のなか、冷たい空気に緊張しながら歩いていると、もう少ししか残っていない雪たちの残骸に出会うことができました。
消えるのを惜しむように、あらゆるもののうえにしがみついて、彼らは残っています。
明日の朝、朝陽に出会えばあっという間に雪たちは、その存在を消してしまうことでしょう。
夜の合間にひとときの命を紡いでいるのだと思うと、そのはかなさに頬ずりしたいほどのやさしい気持ちになります。
瞬間、瞬間に命を燃やす、そのときどきに成果を残していく仕事をしている私たちは、この小さな雪の塊と、ほとんど同じではないかと、ときどき思うことがあります。
どうか消えずにずっと残ってほしい…。
テトラポットの上に、消える命に抗うように残っている雪たちに、私は、そっと語りかけました…。