よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

覚醒の時期

 1月末から、東京、旭川、横浜、広島、金沢、東京そして明日の福山とセミナーや講演会が続いています。医療制度改革のなかで、病院の機能分化や在宅誘導が進み、大きく医療が変わろうとしています。そのなかでどうしても病院ベッド削減というテーマが厚労省にはあります。メディカルホーム(医療型高専賃)についての依頼が増加する所以です。

 そもそも、病院が環境変化に対し何もせず、このままベッドを維持できる筈はありません。幻想です。
マネジメントの巧拙により病院の盛衰が決定される、そんな時代が本当に到来しました。

 以前からホワイトボックスでは、医療崩壊の真の原因はマネジメント不足であると主張してきました。
 
 多くの心ある病院の理事長や幹部が、同様の話をさまざまな場面を通じてお話されるようになってきました。

 そうした胎動があるものの、多くの病院は病院マネジメントがどのようなものかを理解しないまま経営を行っています。

 医師や看護師、コメディカルや事務の方々がモチベーションを高め、力を発揮できるよう、管理することが病院幹部の役割です。収益だけをみる時代は終焉を迎え、部門損益や患者別原価をみつつ医師と戦略立案をしなければならない時代でもあります。

 自らが社会生産性を向上させるためには、いま在職する医師が中心となって、どのように地域医療に貢献していくのかを常に考え判断し、不足するところを提供できる経営を行っていく必要があります。

 国が進めている機能分化といった深層にどのような思想があるのかを理解し、地域における自らのポジションを決定していくことが必要です。メリハリのある診療活動をどのように進めていくのか。

 何が特徴の病院なのか。そして質をあげ生産性を高めるための組織活動はどのように行っていけばよいのかについて議論する必要があります。

 現場において患者さんをどのように治療するのかという現場マネジメントは言うに及ばず、HRMや経営ツールを使いこなし、組織マネジメントをどのように行っていくのか、真剣に考えなければならない時期であると考えます。

 診療報酬の点数にとらわれて右顧左眄(うこさべん=周囲の状況ばかり気にして、自分の態度をなかなか決断しないこと)せず、強い組織をつくるため、マネジメントを強化する。病院幹部はこの大命題に真剣に取り組む必要があります。利益は患者評価の対価である、という言葉をよく噛みしめる必要があります。

 ホワイトボックスは微力ですが、そうした活動支援をさせていただくために尽力することを決意しています。