よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療機器とマネージメント(3)

4.医療機器管理の職務
 医療機器管理は、医療の要請に応えるものでなければならない。適切な使用と機能を最大限果たせるよう、常に環境を整備する必要がある。
①機器の機能への対応だけではなく、
②利用する者がそれらを有効に使えるよう、
③さらには、ME自らが操作する場合にはチーム内でのコミュニケーションを的確に行う
  
 MEの病院における役割は、医療機器全般にわたる管理。管理というのは一定の方向に導くという意味。一定の方向に導くというときの一定の方向は、上記に記載した通り。機器の機能をどのように引き出すのかについての全般的なマネージメントが必要となります。

 機能を引き出すということは、究極的には機器を扱う人が操作的に正しく使えるというだけではなく、使った結果の診断をも間違えず機器を使うことができるところにまで波及する可能性もある。
但し、ここまではMEの業務領域には積極的には含まれないとも考えます。
 
 なお、病院のなかでMEが成果をあげようとすると、他者との関わりが大きく生まれる。医師であり、看護師であり、放射線技師であり、検査技師であり、もちろん部署内での関係も生まれるでしょう。

 結局は、ME自体がコンサルタントになり、高い人格をもって機器を取り扱うだけではなく、操作する医師やスタッフとの関係をつくることが、機器の機能を引き出す最も有効な手段であるということに気が付く必要があります。

5.医療機器のマネージメント
(1)医療機器の機能が最大限活用されるよう環境を整備する
ⅰ)機器購入段階
①ニーズ聴取による、あるいはマーケティングによる提案活動
②機器スペック対価額比較(経済合理性の確保)
③病院の経営実態をも考慮した、投資経済計算による経営意思決定への参画
④機器導入による現場生産性向上への提案(新規機器導入への提案)
⑤付保やメンテナンス契約への提言  

ⅱ)機器利用段階
⑥適正な使用方法の浸透(教育研修及びシステム構築)
⑦適正数管理による現場利便性確保(アイドルタイムをつくらないシステム)
稼働率管理による利用促進
⑨合理的な価額での修理修繕(恒常的コスト管理)
  
ⅲ)利用者への対応 
⑩行動管理による人員配置(自部署生産性向上)
⑪個人スキル向上によるオペレーション円滑化 (自部署生産性向上) 
⑫ME以外の利用者への利便性担保(他部署生産性向上)
 
 [1]俯瞰した対応
 自院の診療科ではどのような医療機器を利用することが適当であるのかについて、常に検討する必要があります。他院の事例を常にストックし、自院で経営判断を行うときの材料とすることや、業者との勉強会にて自院に必要な医療機器を常にリストアップしておかなければなりません。

 その場合には、自院の患者構造や医師の得意不得意までをも斟酌してそれらの情報をリアリティのあるものに加工しておくことが適当です。新しい機器があるから購入しようという短絡的なものではなく、治療の内容や実績、患者数といったものを考慮して提案活動ができなければなりません(続く)