よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

本来の接遇とJR

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土曜日に病院でのドクターや看護師さんといった面談を朝から午後まで行い、帰り途、電車はとてもすいていて、一つの車両に数人しか乗車していませんでした。

 ふと電車を見ると、あっと気がつきました。な、なんと先ほど話していた接遇のコンセプトをそのまま具現化しているではありませんか。

 まず、手すり、握りやすいスタイリッシュなかたちになりましたよね。昔のドーナッツに紐がついたようなものではなくり、電車がゆれるたびに触れて頭にあたる、ということもなくなりました。

 次にモニターです。2つあって、一つは次の駅、それも全体を鳥瞰図的に示したうえで、行き先、次の駅を表示します。あと何分まで教えてくれる優れ物…。そしてもう一つのモニターは、なぞなぞとか、すてきなお料理のお店、天気予報(それも、地域地区別っす)、さらに科学の勉強や、ためになる番組、ニュース(特に政治、事件、スポーツに絞っています)といった具合。

 また、広告も相変わらず古くから同じパターンで物置の上に掲示されています。最近はドアのガラス部分や窓とドアの間のスペースにも、シールが貼られていて、マーケティングができます。ときには、一車両全部が同じ広告であることもあります。そのインパクトはすごい。乗客のニーズに応えることでの対応であると思います。

 そうそう、冗談の物置は、昔は網というか、格子になっていました。そうすると小さなものが落ちたり、傘が下に落ちてしまったり、水がたれたりという問題がたくさんありましたが、いまではフラットで少し後ろにななめになり、しかししっかりとガードされたボードが上に乗っているのです。これもすごい。

 されに手すり。体調の悪い人、疲れている人、目が見えづらい人…、そのために入り口近くの手すりです。さらに、乗客が座りやすいように、真ん中にも手すりがあります。

 そして、椅子はこんなに薄いのに、結構暖かいんです。こんなに暖かい椅子は、他にはあまりありません。椅子の下には、たくさんのスペースがあり、ここにも、実は荷物をいろいろ置けるように工夫されています。

 椅子の座りごごちも最高です。堅くもなく、やわらかくもなく、お尻がすっと入る感じです。椅子の再度のボードもプライバシーを確保し、そして頼りがいがある。高さも適当で、寄りかかっている人が気になりません。まだ、あげれば、床や照度、空調などなど、まだまだ技術はたくさんあります。

 さて、医療における接遇は本来の接遇が必要です。このコンセプトは拙著「ブランドな病院の時代」に発表したものです。

 ①羞恥心を与えない
 
 ②恐怖心を与えない
 
 ③痛みを与えない
 
 ④納得してもらう
 
 ⑤不便を与えない
 
 ⑥不快な思いを与えない
 
 ⑦不利益を与えない
といったことが本来の接遇です。

 すなわち笑顔、挨拶、礼節ではなく、医療看護技術が接遇だという主張です(笑顔は技術技能の発露)。

 力がある人は他人にやさしい。仕事ができる人はプライドがあり、余裕があるからです。知識がある、先がみえる。接遇とは、力をつけること。また来てくださいではなく、もう来ないでくださいの接遇なのです。

 もう来ないでください=来なくてよいように私たちと治しましょう。その気持ちは技術の発露です。
仕事ができる人は他人にやさしい。謙虚である。これが接遇の本質です。

 その点からいえば、JRのこの車両はまさに技術を見せつけるものなのでしょう。JRの職員の笑顔、挨拶、礼節も確かに研修はあるのでしょうが、技術に裏付けられた自信がある結果なのではないかと思いました。

 休日の午後、ふとそんなことを思いました。