よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

静寂と輝きと

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カーテンを勢いよく開け、ホテルの窓から外をみると、そこには静かに佇む町並みと、それほど遠くではない場所に時折キラキラ小さな光を放つ静かな海が横たわっていました。

 

冬の季節、町の色はどちらかというと灰色で、北国の外れにあるこの地の気候がとても似合います。暫く眺めている間に空は少しずつ曇りはじめ、そろそろ雨や雪を予感させる雰囲気になってきました。

 

午後、東京事務所で会議があり、朝一便に乗るため空港に向かおうとする自分が平日の朝にこにいるのは何も不思議ではありません。

 

昨日の夜、クライアントでの仕事が終わったあとに場末の酒場で知人と静かに旧交を温めていたことを思い出します。仕事が終わったあと地方で人と会うと当たり前ではありますが、その日は東京には戻れないのです。

 

朝早い約束があるときには、先ず東京に一番近い都市まで移動することが多くありますが、それは新幹線がある太平洋側のできごとです。その地域を出た土地に来ると、なかなか容易な移動手段はありません。そんな事情で滞在するのに意味があるからそうしている、のであり別に苦にはなりません。焦ることなく、仕方ないとかえって開き直ることができて気は楽なのです。

 

ところで、小さな町の家々の隙間から見える、穏やかに波打つ大きな海は、夏の陽の当たる景色と比較してあまりにも暗いことが分かります。町の静けさと符合するように海もまるで凪(なぎ)のように見えます。しかし、雲行きが怪しくなり、風がでてくれば、自然は協力をして海に白い波をつくり牙をむいて私たちの前にはだかります。

 

地球は生きていて、そのご相伴にあずかっている身として私たちは、自然には抗えない、ささいな存在です。荒れている海の気を静めたり雨を降らせないようにすること、また雲を散らし太陽を空から覗かせるなんてことは、神のみに許されたことなんですね。こうして窓の外を眺めていると、そんなことが容易に納得できます。

 

私たちは、だからこそ短い人生を愛おしむように、こうして日々を生き、何かを変えるために意志と目的をもって抗い、人間らしく合理的に最大の価値をもって生きていかなければならないのだとと思います。

 

町の活力もそこに住む人間がつくりだすものですが、社会の活力も地球に生けとし生きる者でしかつくりだせないものだという想いを強くします。

 

コントロールできない自然の力にあるときは従い、そしてあるときには少し抵抗し、最終的には自然を与件として、すくすくと、そして清清と生きていく、生きていかなければならない生き物が人間なのだとつくづく思います。

 

意思と姿勢、そして共感と協働。皆わかり合い、今求められているものをしっかりと見据え、協力して何かをつくりだしていかなければならないと感じます。そこに私たちは生きているし、価値があると考えるからです。きっと、そのことで皆でともに生き支え合わなければならない意味を確認できるんですね。

 

その人には、その人なりのその人しかできないことがあり、それらすべてのことには価値があります。誰が見ていなくても自分が透明な心の目をもって、自分の生きざまを見続けていかなければならないと気づきました。

 

ほんの数分でしたが貴重な学びを得られた時間、もういちど焦点を目の前に合わせると、町の景色が心なしかほんの少しだけ明るくなった気がした朝のひと時でした。