よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

本当にDPCの存在意義をしっているのか(2)

退院許可は医師、そして退院指示は病棟看護師に権限移譲。全体を病床管理委員会の柔軟な対応により、病棟が最大限に活用されている。

 個人個人は職務基準やマニュアルによるOJTと、計画された各部署の年間を通じたOff-JTによるキャリアデベロップメントを基礎として、その職種において常に目標にしたがった育成が実施されている。目標管理制度は徹底され、評価され賞与が決定されるし、プロセスにおいては経営方針が達成される。そして人事考課制度による年間総合考課と人材育成が、現場での治療とパラで実施される。

 管理会計のもと、指標管理や部門別損益計算。場合によれば患者別疾病別原価計算により、診療群分類別での原価計算が実施される。これらにより現場の業務改革課題はすべて解決され、またDPC病院として治療ポートフォリオが構築される要因をつくりあげる。ここでは、やりたい医療をどのようにして利益のでるものとしていくのかということについてのみ議論が開始される。それらの解が、経験曲線を押し上げ、コスト曲線を引き下げる。

 コストリダクション(原価低減)モデルの面目躍如です。

 結果としてDPC病院では利益がでる。出た利益を医師や看護師の採用及び処遇改善に活用する。

 もちろんコメディカル村八分になることはありません。彼らも休日や土日夜間、オンコールを待つ身で飲酒すらできないことは当直にも値する緊張感と貢献を求めることを考えれば、コメディカルにも手厚くシェアすることが適当です。

 設備投資もできる。留保もできます。

 患者のためにコストを使うこともできる。そもそも病院において、退院される患者は(ホワイトボックス社の分析では)、45%以上の赤字の患者さんと55%の黒字の患者さんに区分される。すなわち、病院が懸命な努力をして医療を行っても、どうしても赤字になってしまう患者が45%、場合によっては50%以上存在するということを意味しています。

 これはまずい。
 経済活動を行うなかで、結局はボランティアで医療を行っていること。

 しかし、点数の設定における問題(診療報酬は当然のこととして原価をベースとしたマークアップで決定されているのではない=手術はそうした考え方が導入されている)だけではなく、原価的課題、すなわち生産性が悪いので利益がでない、というところに踏み込んで解決を狙っていかなければ、病院は長続きしません。

 適正利益を出すために、どのように質が高く合理的な医療を行うのか。これがDPC病院の志向する方向であるとすれば、DPCを軸として、制度似合った、機能評価係数に合った、医療を構築していくことが一番です。DPCのことをもっと知るということは、病院経営の手法をもっと知るということにつながります。

 病院全体の経営をどのように適正化するか。

 病院の特徴を出し、医師のモチベーションを落としている要因をすべて排除し、医師を経営に参画させる。医師を軸とした組織運営をさらに推進し、コミュニケーションを最大化していくことが必要です。DPC適用病院は、こうした全体を見据えたうえで、イブなり、ニッセイなりなんなりを使い、それらのデータの端緒から、病院を改革しづけていくことが求められています。