よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

膝を折る病院、立ち上がる病院(1)

 膝を折る病院が増えてきました。S病院は夜逃げ同然に病院を閉じました。地域の医師会は患者さんを振り分けるのに大変でした。関連しているK病院もあっという間に倒産しました。大きな混乱を起こさず、患者さんが別の病院や施設に移動できたことがせめてもの救いです。

 そして、N病院も閉鎖。一時期ホワイトボックス社から事務長を紹介した病院です。オーナーの意向で、利益がでなくなれば閉鎖しようという方針がでて、我々は支援をすることができませんでした。

 O病院は、すでにキャッシュが回らず先がないことがわかりながら、他の病院に対するスポンサーの申し出を断りました。早晩閉鎖に追い込まれるでしょう。

 U病院は赤字が3期続いています。もう要注意先として銀行からの資金もでません。自立再生が可能なのか不透明になりました。

 15:1の看護基準は今回の診療報酬改定で点数が下がりましたが、13:1以下は今後廃止されるとの憶測がながれています。療養病床と同じ入院患者構造であるということがその理由です。一般病床で、
特徴のない、そして手術をしない、明らかに入院の必要がない患者さんを入院させている病院が多数あります。いわば介護療養病床的な病院です。

 介護療養病床の廃止も計画通りといわれていますが、まさしくこれから医療難民を多く発生させる環境となることが明らかです。ただ、医療型高専賃や在宅への展開を行うことで、医療資源を棄損せず、地域医療を継続することができることを忘れてはなりません。

 業態に拘泥せず、亜急性期や回復期を目指すことや、病院という箱を捨てても、実質的に医療や看護を行うことは十分に可能です。

 病院は、最後の最後まで頑張ることをせず、中長期単位のなかでの事業計画を立案し、できるだけ早期に判断することが必要です。早期に次のステップに進む。これが医療や看護を地域から消滅させない方法です。

 これから病院を救済する政策は絶対にとられない。1970年代老人医療費無料となってから増加したベッド数を元に戻すという厚労省の方針に抗うことはできないのです。DPC病院の出来高点数があがるということはあっても、特別な診療科を除いて、すべての業態の病院点数が大きく増加することはないと
理解したほうがよいと思います。

 ①十分な自院の現状分析
 ②採用できる戦略にはどのようなものがあるのかを熟考
 ③自院の方針を確定
 ④事業計画を立案
 ⑤アクションプランづくり
 ⑥組織的行動
といったながれをつくり、病院をどのように変えていくのか、また、どのように業態を変えていくのか、また病院という箱を捨て、地域医療や看護をとるのかを決定していくことになります。

 多くの病院が姿勢をつくり、そして懸命に闘う。闘う覚悟をもつのかもたないのか。そして実際に闘えるのかどうかを病院幹部は自らに問うてみる必要があります。立ち上がれ病院。