よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

組織変革4つの領域とは

 

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組織における変革は、

  1. 個人
  2. 部署
  3. 部署間
  4. 組織

の4の領域で行われる必要があります。

 

一つ目は、個人で行える業務改革。自分が行動を変たりやり方を変えればできる改革です。どちらかというと業務改善といった感じでしょうか。自分の仕事の姿勢や態度、技術や技能、人間性、生き方などが改革の対象になります。なかなか自分の事を客観視できないため課題を発見しづらく、しかし変化しようと決意すれば、もっとも現状を変えやすい対象です。

とはいっても個人の覚醒だけに依存することなく、組織としても個人をどのように評価し、能動性を喚起しながら期待値まで引き上げていく仕組みづくりが必要ですね。


そして二つ目は部署での業務改革です。部署のなかで話し合えば課題が明確になり、そこで役割分担をしながら何かを変えていくことができます。部署における問題点が把握できていて、皆の意思が疎通している、そして変えようという思いが強ければ改革が出来る領域です。リーダーの力量が試されますね。

三つめは部署間における業務改革です。これは部署間でやり方が異なったり、うまく連絡がとれない、何らかの理由で連携がとれない、というときにそれらを解決するものです。

この解決のためには、部署のなかで部署間に発生している課題を整理し、それをもって各部署の責任者がミーティングを繰り返し問題解決を行うことになります。部署間の衝突(コンフリクト)は、利害があり、なかなか解決できないことがあります。

 

組織の癖として、セクショナリズムや自己利益優先があるからです。同一組織において各部署が連携して仕事が成立する性格の組織構造、例えば購買、設計、製造、営業、事務等異なる職種が多いところにおいては、こうした傾向が顕著です。


なので、組織全体を俯瞰(高い所から見下ろし眺めること)して、何が正しく何が不適切なのかを判断しなければ、解決することができない領域です。

 

それぞれの部署に介入し、連絡や連携がうまく行えない理由、すなわち好き嫌い、業務フロー、ルール、文化、人員数、力量、力関係等から発生する問題を解決しなければ、変えられないテーマが多いようです。

そして四つ目ですが、これは組織で抱えている、どちらかというと戦略的な問題であり、制度を変えたり組織を変えたり、人員配置を変えたり、ルールやシステムを変えなければ解決できません。しかし、これはトップが介入し、指示をすれば比較的容易に解消することができます。

 

勿論、どの様な戦略を採用するかどうかについてはあるべき手順を踏んで対応しなければならないのは言うまでもありません。

 

しかし、組織がうまく機能しない問題に優先順位をつけ、その解決に執着して、必ず変えていこうと考えていさえすれば解決できる領域です。

 

なお、何かを変えなければならないときには、まずは現場に入り現状を正確に把握することが大事です。現場にこそトップの気付かない問題があるからです。組織にある問題はすべて現場に現れます。上から見ているだけでは分からない仔細な課題があるのです。

 

ただ、現場の問題だけをみていると本質に辿りつけません。その発生原因がどこにあるのか、一段上にあがって組織環境全体を見渡し探ることも重要です。解決しなければならない問題も見えてきます。常に内外情報を収集し、俯瞰しまた凝視できれば、自ずと解決策は見えてきますね。

 

現場にある問題を4つの領域に分類し、トップマネジメントが決定した方向や戦略を基礎として、どうあるべきかの答えをもちます。上記4つの領域においてそれらの阻害要因となる問題の所在や原因を掌握したのち、個々や全体としての対応を行うことで、適切な方向に舵を切り組織をしっかりとマネジメントできると考えています。

 

京都タワーの展望台から下をみたときに、下を歩いていたのでは気が付かない、様々なことを知るとともに、あれこれと想いを馳せることができたのでした。

 

俯瞰と凝視からの変革の4つの領域、とても大切ですね。