よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

函館野外劇 星の下で輝く人々

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 昨日は、エキストラで野外劇に出ました。毎回500人の市民が参加する舞台です。7月と8月で10回の舞台があるなか、7月9日は初日の公演でした。

 病院のT事務部長から、絶対に感動するから参加しなさい。というサジェストが昨年あり、盛夏の草のにほいがする函館五稜郭の野外ステージで、約1時間半、さまざまな役を演じることができました。

 舞台は函館…。妖精を引き合いにして、語り部により函館の歴史が語られていきます。時代のながれのなかで、めぐるめく函館が経験してきた、
・アイヌへの抑圧
・キリシタンの迫害
・高田屋嘉兵衛の活躍と町の繁栄
・ペリー来函
・土方歳三の函館戦争
・函館大火
・第二次世界大戦
そして近代の時代移り変わりなど、さまざまな出来事が舞台で繰り広げられていきます。

 エキストラは一回の舞台で数百人。私たちの病院グループからは、9名が参加しました(そのうち4人は、事務部長が今年入職した50人以上の新人に対し、ほぼ強制的に10回の舞台に5人ずつ参加するようにと勧めたことを後で知りました)。すべて、エキストラではありましたが、とても楽しい時間を過ごしました。

 この野外劇はすでに23年続いていると聞きました。21年参加しているという年配の女性から話を聞きましたが、よくこの規模でここまで続けていると思います。昨年は見る側からこの野外劇を感じ、そして感動することができましたが、今年は、まさに運営側に立ち、舞台裏の人々のオペレーションをすみずみまでみる機会を得れたことはとても、有意義でした。

 まずは準備です。受付を済ませると、まずは町民の着物である作務衣を着ます。その上にキリシタンが迫害されるときに着る真っ白な浴衣をはおり縄で止めます。さらにそのうえには、アイヌ人になるために朝のアイヌ語の入ったアイヌの織物を身にまとい、バンダナを止めて終わりです。ゴムのそれらしいサンダルを履き、そして、手には、町民の鬘のかぶり物を持ち待機です。

アイヌ役が終わったら、舞台裏に走り、服を脱ぎ捨て、バンダナをとり、キリシタン処刑の場に行くためきびすを返します。竹の柵に張り付いて、処刑される仲間に対し、叫び声をあげたと思ったら、また戻り、服を脱ぎ捨て、今度は鬘をかぶり町民に…。舞台で過ぎ去る時代をストーリーと一緒に生きるのでした。

 この舞台衣装の管理や手配、差配、そして指示系統がうまくできていて、着付けをする人もいたりして、テキパキと準備が進んでいます。

 やはり本当の裏方として働く人がたくさんいることが解ります。舞台で動けるのは本当に一握りではあるけれども、その裏方として、衣装や大道具、小道具の人々がこれだけスムースに動いているのは、同じ思いをもち、舞台をつくりあげていきたいということなのでしょう。
 
 組織運営ももまったく同じであると思いました。

 そして、舞台の始まる1時間前には準備完了です。

 その後、アイヌの村人が踊る踊りの振り付けをしてもらいました。これがまた、簡単なようで簡単ではない。6つのパターンをそれぞれ一つについて8回ずつ繰り返す踊りです。まずは、左に廻りながら、左右に手を打つ。それも楽しそうに…。

 その次は、荷物を担ぐ仕草をやはり左に廻りながら、左右で繰り返します。その次は腰に手を当て、ランら、ランという感じで左右に身体を振りながら、踊ります。

 そして次は鶴。鶴が羽を広げるようにしながら、これを繰り返し飛び立つしぐさです。そして最後は天に喜びを伝える。あ、ありがとーという感じです。

 文中の感想は私のものであり、指示されたわけではありませんが、これをたった10分で覚えるのは大変でした。あとで出番まで繰り返し、順番を覚え踊りました。ありえない光景ですが、経験です。難しいということがすごくわかっただけでも、よかったです。

 待機中は山を降り、舞台の裏にある待機小屋での待機です。100人前後の出番をまつ人がそこにいて、ざわざわと、舞台では函館の歌がうたわれています。お~ぉ函館、お~ぉ函館、明日に輝け、星の街函館、という歌詞を聴いているととても勇気がでます。

 ということで、舞台が始まってからは、ディレクターの指示であちらこちら舞台を踊り、歌い、走り、裏山を駆けのぼり、駆け下り、衣装を脱ぎすて、走り、手を振り、笑い、という時間が過ぎていきました。

 役者のなかにスタッフがまぎれ、皆の手本になるとともに、客席から観ていたのではわからない、指示を出していました。現場のマネージャーというところでしょう。
 そここには、その上司であるパートごとのディレクターがヘッドホンでの指示を受け、出しながら、テキパキと舞台を進めていきます。

 聞くところによると、アメフトのように上から(この場合は客席側)から総監督がチェックをして、詳細な指示を出しているとともに、双眼鏡を使い、一つ一つの役者やエキストラのできばえをみて、毎日反省会をしているとのこと。やはりマネジメント力がここでも発揮されていると考えました。

 数年前からプロのスタッフがついて随分と構成が見直され、脚本が変わったということでしたが、劇団四季とはいかないまでも、なかなか市民の舞台としては成熟していると感じることができました。最初はどうかな、と思っていましたが、表裏をみることで、真実が解る。

表舞台の感動の裏には、たくさんのそれ以上の感動がある。すべてのものを知るためには、全体を俯瞰しないとわからないことは、どの世界でも同じです。最後にまたまた、お~ぉ、函館、お~ぉ函館、明日に輝け、星の街函館~ぇ、という歌とともに、舞台の上、そして客席で無数のペンライトが左右、上下、前後に振られ、フィナーレを迎えました。http://beauty.geocities.jp/tispen7/content/444bearfire/7.html

 オールラウンドプレーヤーの事務長はあと5回でるそうですが、この夏、50名を超える病院の関係者が舞台にあがるということでした。

 市民がつくる舞台でのチームワーク、そして歴史、野外劇が大きなながれとなり街を益々活気づけてくれるものと信じています。

 病院のスタッフにも、そうした思いが伝わったのではないかと、少し力づよく思いました