よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPC実施事項課題事例を基礎としたマネジメント(2)

 前回に続いて弊社が実施しているDPCコンサルティングにおいて、ポイントとしている課題についてご紹介します。

出来高算定可能項目(薬剤指導・栄養指導・リハビリ等)の実施件数低下

・転倒・転落等アクシデント発生件数の増加によるコスト増

・緊急入院比率増加による入院時検査、術前検査のコスト負担増加

・外来診療待ち時間の増加

・初診患者数の減少

・DPC退院後の再診患者数の増加。逆紹介、返送するための地域連携の不足

・新入院患者数の減少

・救急者受け入れ患者数の減少

・救急車受け入れ入院比率の減少

・救急者断り件数の増加

・紹介患者件数の減少

・紹介患者入院比率の減少

・返送患者の返送率減少

感染症発生によるコスト増

・自院で得意とする疾病を持っていない

・自院で得意とする手術を持っていない

・自院で得意とする検査を持っていない

・自院で利益の出る疾病の未対応

・自院で損失の出る疾病の未対応

・重症度・看護必要度の高い患者が多くなることでのリスク発生危険度の増加

・DPC導入後、月1回請求、回転率上昇、平均在院日数短縮による患者負担未収金の増加

 上記は、複合的に発生する項目もありますが、いずれにしてもこうした着眼がなければDPCをうまく
運用することはできません。
 
 また、他のマネジメント領域について、その内容をきちっと管理していかなければ本当の意味での医療
を行うことはできません。理事長、院長をトップとして、医師一人ひとりと胸襟を開き、全人格をもって納得するまで進む方向について議論をする。

 そのうえで、一人ひとりの人生をかけて、この病院を通じて地域医療を行うことができる多くの医師を糾合することができなければ、病院がもつ本当の力を発揮することができません。

 理事長、院長と他の医師が固い信頼関係をつくりあげている。自らの医師としての力を最大限発揮することに対し懸命になれる病院です。医師同士が信頼し合い、お互いを気遣い、医療を提供しようとするなかで、看護師やコメディカルがそれぞれの力を発揮します。

 もちろん、彼らが働きやすいように、経営企画部門がマネジメント全般にわたりサポートをする。他の事務部門も最大限の機能をもって現場を支えていく。

 私は、そんな病院がよい病院の究極の姿であると考えます。医師の得意、不得意、力量、看護師のスキルや行動において制約があるとしても、それらを常に凌駕していく努力がそこには生まれてきます。

 医療従事者も人間です。理事長や院長に高い志とマネジメント能力があれば、よい病院をつくりあげることができます。すべての職員が、一人、またひとりと覚醒し、自らの役割と機能を果たすことができるようになります。

 病院におけるマネジメントとは、どのようなものであるのか、何をしていけばよいのか、すべての病院経営トップがしっかりと確認する時代が到来したことに気が付く必要があります。DPCはそのうえに乗るマネジメントの一領域でしかすぎないことを確認しなければなりません。

 現場マネジメント、部署マネジメント、業態固有マネジメント、組織マネジメントが明確に管理されることが、業態固有マネジメントの一部であるDPCマネジメントを推進するための基礎となることについてホワイトボックス社はしっかりと多くの病院に伝えていきたいと考えています。