DPC制度は、本来医療の質を向上させるために存在します。高密度で質の高い合理的な医療が、DPCで求められていることですが、どうそれを達成していくのかは、ひとえに看護部の努力に依存しているといえます。
もちろん、医師が先頭に立ち医療行為を行うわけではありますが、短縮される在院日数のなか、頻回に看護プロセスを廻し、退院調整を行うという業務を行う看護業務は、とても大きな役割を負っていると思います。
DPCについてホワイトボックスでは患者別疾病別原価計算を実施し、
①感染症
②アクシデント
により在院日数が延びること、そして
③①と②の処置
④パス外処方を行う
⑤他科受診を行う
⑥持参薬管理ができない
⑦抗生剤の見直しができていない
といったことにより、
収益が逓減し、またコストが増加するということが解っています。
これはとりもなおさず、医療の質にかかわることであり、看護が観察、診断、計画、実施、記録、退院要約といった業務のなかで達成、あるいは留意していくべきものであるからです。
医療の質が高くⅡ期間に合わせたかたちで早期に退院することができれば、DPCは必ず利益がでます。すなわち、利益を頓着しなくても医療の質にさえ執着しさえすれば医療を継続発展させることができるのです。
もちろん、延べ患者数が一定で早期に退院してしまえば、ベッドは空きますが、質が高ければ患者も集まる、すなわち延べ患者数も増加します。結局は医療はDPCを通じてあるべき質を担保するための仕組みをつくり人を育てることを誘導しているということができます。
戦略は、医師とのコミュニケーションや現状分析、そしてマーケッタビリティをみつつ納得のうえ決定されていて、すべてのスタッフがそこを軸に行動している。すなわち、戦略は、目標として組織に落ち、すべての行動を支える仕組みとして、パスやリスクMやマニュアル、そして教育システムが整備され、評価のための職務基準や職能等級制度が機能する必要があります。
日々の業務改革が個々人の能動的な対応により行われるよう、業務改善提案制度が導入され、運用される。部署間コンフリクトを排除するための事務部門の組織全体にわたる支援がある。
結局は、DPCマネジメントを支える現場マネジメント、部署及び部署間マネジメント、そして組織マネジメントにより医療の質を担保し、そしてDPCに則った医療が行われることで、医療的にも財政的にも成果を最大化することができます。
医療を変える、そのために医師を中心として看護部がイニシアティブをとり、組織を動かしていく。コメディカルはそれらすべてを支援し、事務が行動する。こんな関係をつくりだすためのながが必要です。
今回は、この病院でH総師長を中心として師長に集まっていただき、またコメディカルや事務部も参加していただきDPC看護調整という勉強会を開催しました。退院調整も上記のながれのなかで、他部署を巻きこんで行われ、結果を出せる。退院調整そのものだけの技術を高めればよいのではなく、ながれの帰結として退院調整があるという理解をしていただきました。
これからも、この病院の看護部は闘いつづけていくことでしょう。よい医療、よい看護をつきつめていくことには限界がないと誰もが知っているからです。