よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院における業務改善について

 病院における業務改善思考は、医療従事者一人ひとりの考え方にまで昇華されなければならない。

 今のやり方は過去のやり方である。もちろん、そこには先達の経験やノウハウが凝縮されている。普遍性のあるものもあり、最近つくりあげられたものもある。しかし、過去のものである。今のやり方を常に変えて行こうという思いをもって人間はあらゆることを考えてきた。学問や科学はそうして進化してきたし、工夫され創造されてきた。

 医療は人の命に係わる業務を行う。安全であること、シンプルであること、しかし質が高いことが自明の理として認識され、進化し続けてきた経緯がある。多くの事象が同じような経過をたどって進歩してきても、それは医療の経た何重ものプロセスを想像できない程度のものである。

 そうして構築されてきた医療を提供する病院において、そのオペレーションが創造的でなくてよいはずがない。すべての業務は常に見直され、行動は検証され、最大のアウトカムを目指すかたちで運用されなければならない。

 医療を提供する場所以外でそうされる仕事のように、ルーチンとして職務をとらえ、毎日同じように繰り返し何かをするという姿勢は医療には似合わないのである。

 医療の性格を病院運営にまで範囲を広げ、常に最高の質を担保するよう行動する人々が医療従事者である。医師や看護師、コメディカルだけではなく、事務部であっても同様のことがいえる。

 現場をどうサポートするのかが事務部の使命であり、事務業務を通じて医療に間接的に貢献する立場にあるからである。

 事務部が現状を正しく把握し、組織間のコンフリクトを解消し、現場が動きやすいよう、常にサポートすることができれば、医療や看護、医療周辺業務は円滑かつ高い質により、患者に提供されることになるだろう。

 現場と現場を支援する環境において、常に工夫と創造を誘導するのが業務改善思考であり、日々の具体的な変革行動である、ということができる。

 すべての医療従事者は、今日は何を変えることができたのか、どのような価値を生み出したのかについて日々反芻し、翌日の仕事に活かす、という活動を仕事の軸におき行動することを期待されている。