よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

最後は医療人そものが独自で成果をあげる。医療はそうしたものだ

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 医療そのものはとてもインディペンダントであり、医療の知識と経験をもった者が、薬剤や道具を活用して行う役務提供の形です。

 したがって、医師や看護師、薬剤師がいれば一定の治療はできます。しかし、検査や撮影により、それらを補完することがより質の高い判断をもたらし、確認を行ったり、判断に大きく影響を与え治療を変えることになりますので、そうしたコメディカルが必要です。

 さらに、入院をすることになれば管理栄養士やPTやOT、STなどリハビリ等さらに機能をよりよく回復するためのサポートが必要となります。

 通常であれば経済活動を行うためには資産を管理するスタッフが必要であったり、フィーを管理する役割をもつ機能が元られることになります。

 こうして考えると、まさに診察を行い診断を下すまでのプロセスや、治療のプロセス、看護のプロセス、あるいは回復に係わるすべてのプロセス、医療を維持するための仕組みが医療にあることが理解できますし、背景には機能を維持するための事務的なサポートがあることが認識されます。

 医療のマネジメントはしたがって、現場におけるマネジメント、各部門におけるマネジメント、そして病院の種別に係わるマネジメント、さらには病院全体の動きを一定の方向に振り向けるマネジメントの
4つのマネジメントがあることがわかります。

 私たちはこれらに対してどのように関与していくのかを常に考えています。

 現場のオペレーションがうまくいくためにはそこで働く医師やサポートをするスタッフが働きやすい環境をつくらなければなりませんし、部門がそれぞれの現場のコントロールをうまくできるように支援しなければなりません。

 さらには業態別の法的、実務的な戦術についての提案を行ったり、病院そものがマーケットや競合との間でどのように成果をあげていかなければならないのか、また医療制度改革のなかでどのように組織を維持し、地域医療に貢献するのかについて常に情報を集め、病院幹部の考え方を整理し具体的な活動に転換する必要もあります。

 しかし、今回の震災では検査もできず撮影も不可能で、まさに現場で一人の医師としての能力だけで活動を強いられたと記事で読みました。看護師も医師の指示を自らのスキルのなかで咀嚼して独自に行動したところも随分あると聞きます。他のスタッフも自分たちの能力を最大限発揮して医療に取り組んでいると聞いています。

 危機的な環境下においては、医療人である個々人そものものがいかに大事であるのか、ということが分かります。

 日常、組織のなかであるいは独立して医療を支えてきた人々が素で試されたときだと考えます。

 人が組織に集まり、組織で経験し学習し、ありとあらゆるスキルを学習する。それらは一定のサポートのもとで日々現場できちっと活用され成果をあげる。  
 しかし、緊急時には医療の本質以外のものは飛び越えて医療が行われる。そこには自らを信じてしか活動できない医療人がいる。
 
 したがって、私たちの思いは組織のフレームワークをつくり、マネジメントの分野を特定し、手法を開発し、本来的にそこで働く医療人の皆さんが力をつけ、そして発揮できる仕組みや制度、環境を作り出すことにあります。
 日々の研鑽と現場での活動がより高いレベルで求められているのだと思います。