よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

リクエストに応えて看護師さんとのこと(1)

 一番はじめに病院のコンサルにはいってからすでに15年経過しました。もっとも初めに行ったことは、職能等級制度の整備でした。

 それから私たち独自の3つの構造からできあがっているマニュアルを作成しました。手順、留意点、必要な知識がその項目です。抒情的なマニュアルではなく、手順は手順、横にナレッジとしての留意点は留意点と区分して記載することで理解がし易い。そして覚えやすいというものです。

 必要な知識には、他のマニュアルとのレファレンスやたとえばこの書類はどこに入っている…といった詳細な当該組織なりの特別な事項、さらに知識として、感染症とは…といった内容を記載する欄でした。のちにさらに本来の接遇欄がつくられ、構造化されたマニュアルは4つの構造から成り立つマニュアルになりました。

 痛みを与えない、羞恥心を与えない、恐怖心を与えない、納得してもらう、不便を与えない、不快な思いを与えない、不利益を与えないということが接遇であるという考え方です。できる人は人にやさしい、挨拶、笑顔、礼節は技術技能の発露である、という仮説に成り立った従来の接遇の考え方を変える概念でした。

 さらに、目標管理制度、のちにBSCを20病院ほど実施し、そのなかで独自の目標管理制度を開発しました。これは今後書籍にしていきます。

 リスクマネジメントにおいて、詳細な分析やRMとしての業務、さらには業務改革といったながれで看護部との関係がつくられました。爾後、マニュアルソフト→ナイスナレッジ、リスクマネジメントソフト→リスクブロックを開発しソフト会社から販売しました。これはまだかなりの病院に導入されています。

 さらに、看護プロセスに入り、ロイやヘンダーソンの学習を通じて、看護診断、看護計画をつくりはじめました。関連図の作成を行ったのもこのころです。なお、最近のNANDAについては未だ勉強中で、ものになっていません。

 ただ、問題はテンプレート化したことにより、内容がよく把握できずに標準看護計画的なものになりがちであるという病院がいくつかでてきたこと。これからどうすればよいのか、考えていきます。

 そこではラウンドを行い、昔懐かしカーデックスをガチャガチャあけて、看護方針や目標についてのコメント、さらには記録の内容についてのオーディットといったことにも業務の範囲を広げました。このころから、在院日数が入院診療計画書と異なるときに、その理由を明確にして、早ければ青、遅ければ赤というマークをつけ、在院日数の管理をはじめた記憶があります。

 これはのちにクリティカルパスを作成し、バリアンスママネジメントを行うときに役に立ちました。パスについては、パス委員会でセミナーを開いたり、カレンザンダーから語り始めることもありました。実際にわたくしたちがパスを作成し、病院に提供。そしてそれをサンプルにパスが多数つくられた病院もあります。

 さらに個人カルテを開発。マニュアルや職務基準と併せて個人課題を抽出し、職場内教育の徹底をスタンダードを基礎として一人ひとりに光を当てる考え方での完成を目指しました。カフェテリアプログラムなど病院が目的をもってカリキュラムを決定し、ABCランクをつけたなかでまるで大学のような教育カリキュラムをつくり、病院全体の教育体系をつくりはじめたのもこのころです。

 看護部であればプリセプティングや、卒後研修、そしてラダーの構築についての検討を始めました。職務基準とラダーを一緒にしてかたちをつくっている病院もでてきて、すごいことになりました。

 なお、パスとリスクマネジメント、マニュアルはすべて業務改革のツールであり、教育とすべてリンクするという意味で、これらは皆連関をもって、一体として展開されるべきである。それら4つはすべてつながり管理されなければならないということで、四位一体という考え方での展開もこのころ開発しています(続く)。