よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

看護師さん募集プロジェクト

  ある病院で、7:1をなんとかとれという理事長の指示に対して、教育システムが整備できておらずいますぐは無理といった看護部副部長に対し、理事長は「とにかく頭数だけ集めればいいんだ!」とどなった事件がありましたが、そんな理不尽ななかでの活動を強いられ、頑張っている看護部があります。

 「看護必要度をつくれ!」と院長が指示を出していた病院も目の当たりにして、気持ちが萎えた看護部幹部もいます。

 看護部長の活動の意欲を削ぐ事務局長が赴任し、あっという間に優秀な看護部長が辞めた病院もあります。これらはトップマネジメントの問題であり、論外です。上記を陵駕する問題であり、ここまでくると何をやっても、自分に類が及べば退職する看護師さんも増加します。

 私たちは何百人の看護師さんと仕事をしてきて、彼らがどのような病院であれば、自らの力を発揮してよいと考えているのかがわかり始めました。

 ①有給がとれる
 ②教育を受けることができる
 ③上司が尊敬できる
 ④病院が優れている
 ⑤看護部の雰囲気がよい(活動が活発で活気がある)
 ⑥医師が尊敬できる
 ⑦医師とのコミュニケーションがとれている
 ⑧他部署との連携がとれている

 といったことがそれらです。

 もちろん、病院が明らかに不正をしている、理不尽に罵倒される、叱責されるといった病院は勤務対象になりません。あまりネガティブな課題がないときには上記8つがテーマとなると考えます。

 簡単に書いてありますが、実はとても難しい問題であり、すべてが完璧にできていなければ仕事をしないということではありません。今はみんなに苦労かけるけれども、こうしてこうするなかで成果をあげていこう、私が率先して頑張るからついてきてくれといった院長がいて、具体的な仕組みやツールが明らかで、病院が看護部を支援してくれるのであれば、①がなくても、②の機会が少なくとも、しばらくは前向きに行動することができる、といった具合です。

 病院にヴィジョンがあり、戦略が明確で事業計画があり、毎月高いレベルで皆が働き、そして看護部を気にかけてくれる職員や医師が多いと、絶対に他が欠落していても、看護師さんの退職率は低下します。
 
 ただし、ノーマルな場合にはいきおい上記8つが俎上に乗るということを覚えておいてください。

 私のところに、教育を受ける機会がないので辞めたいという看護師さんの相談がよくありますが、病院は看護師さんを育成し、プライドをもって医師を支援することができるよう、心がけるとともに活動を強化していかなければならないと考えています。

 看護師さん募集を行うのであれば、上記8つが評価され、課題が抽出される。そしてそれらについては徹底して課題解決のための活動が行われる必要があるということについて認識しなければなりません。プロジェクト組成が適当です。