よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

目標管理は部署目標課題をも解決する

目標管理の徹底が形式に堕している病院があります。
 (1)目標設定
 (2)進捗管理
 (3)追加的課題の提供
の各段階で、それぞれ正しい考え方と方法がとられているのかをチェックする必要があります。
ただ、目標を提示、それらを達成すれば病院目標が達成されるかどうかの検証をしていない。設定した病院目標をどの部署がどのように達成するのかについても最終的に検証していない。毎年評価をしないといったことがそれです。それでは折角目標管理をしても成果をあげることができません。

 そもそも目標管理における目標は、当該病院が何かを達成したいと考え、それを経営方針として提示し、各部署がそれを担うということを目的としています。病院として何を達成するのか、ということについてはしかし病院にとってみれば優先順位が高いものですが、各部署にとっては、まったくある目標に対して無関係な部署もありますし、関係の薄い部署もあります。

 例えばNICUの導入といったときに、他の診療科はあまり関係なく、病院機能評価の取得といっても、全組織が対象とならない領域もあります。

 電子カルテの導入といったテーマであれば、全部署がそれぞれどのような役割を果たせばよいのか、教育とか、財務、接遇、医療の質向上といったテーマになれば、それぞれに触れるものが各部署にあり目標化することが可能です。

 したがって目標管理の目標は普遍性の高いものと、個別の目標に区分しバランスよくそれらが提示されなければなりません。

 さらに、目標管理は目標管理を通じて、各部署の機能強化及び病院としての実績づくりを行う意味をもち、目標管理のシステムのなかで活動することで、自部署の課題も解決したといいったながれをつくりあげていくことが有効です。

 病院が実施して欲しい目標が各部門に降ろされ、個人の目標となると同時に、その目標設定においては各部門でもつ課題をも織り込まれ目標が決定されるというかたちが有効です。

 各部署は日々、さまざまな障害をもちそれを調整しながら仕事をこなしています。したがって病院目標と現場の解決すべきことに乖離があると、どうしても、目標のために改めて別のことをしているという感覚になります。

 そうではなく、病院の設定した目標を達成するプロセスで、自部署の目標も達成されるということが理解されていれば、当該病院設定目標に執着することができます。

 病院は各部署とのやりとりのなかで、各部署の目標の総和が病院目標達成につながるのかどうか、そして当該病院目標を達成することで、自部署の課題をも解決することができる、という設定ができる目標を提示、あるいは話し合いのなかで決定していく必要があります。

 教育の問題、他部署との調整、業務改革の課題といった各部署がもつ課題を解決できるかたちで、病院としての目標を達成していけるよう誘導する、といった手法を目標kなりに導入する必要があるのです。