よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

部下による上長評価チェックシート(1)

 

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目標管理制度を含めた上長の対応が部下にどのように評価されているかといったチェックシートを数回にわたり示します。

 このチェックシートを利用する目的は、中間管理者が日常どのように部下に対して対応しているのかを、部下側から評価することにあります。中間管理者として対応しなければならない事項が記載されています。その内容は①方針②環境③コミュニケーション④指導力⑤教育⑥評価⑦態度⑧姿勢⑨規律⑩人間性です。
   
(1)方針
 ここで方針は病院の経営方針です。病院の方針を上長が理解し、それを上長にうまく伝えているかということがここでのテーマです。
・病院の方針や目標を理解しているか
・そのうえで部署の方針や目標を設定しているか
・部署の方針や目標を理解できるように部下に説明しているか
・説明した内容を部下が実行できるよう支援しているか
・方針達成や目標達成のため部下と話し合う機会を多くもっているか
組織が一体となって成果をあげるためには、まず戦略が確立されていなければなりません。戦略は方針や目標となって組織に落とし込まれます。落とし込むということは組織構成員に周知徹底するということを意味しています。

周知ということは知らしめるということであり、徹底ということは、組織構成員がその方針や目標にしたがって行動できる、ということであります。知らしめているのか、行動できるように動機づけているのかが、上長の役割です。「方針」ではその役割を果たしているのかが問われているのです。
次に環境整備です。
動機や意識をもち、行動しようとするときにそれを邪魔することがあっては成果をあげることはできません。
部下が行動するときに上長がとるべき行動が示されています。上長は組織の責任者として部下を守り、活動しやすいようサポートしなければなりません。


(2)環境
 環境は、方針を理解したスタッフが、働き易い環境に置かれているかどうかをテー
マとしています。いくら方針を理解しても、働き易い環境が準備されていなければ成果をあげることはできません。上長は常に部下が働き易いよう誘導していくことになります。
・部下が行動しやすいよう環境づくりをおこなっているか
・部下の失敗を自分の責任と捉えフォローをしてくれるか
・部下の成功を自分のことのように喜べる風土をつくりあげているか
・部下の時間を大切にし、計画的な指示を出しているか
・部下の時間を大切にし、適切な行動が行えるよう支援しているか
方針によって動機づけられた部下が、具体的に成果をあげられる場をつくることが必要です。ここで環境ということは、あらゆる制度やシステム、方法そして雰囲気をいいますが、環境というキーワードを質問されたとき、個々人のイメージで思い浮かべる内容で評価をすることを狙っています。

個々具体的には、上長が「責任は俺がとるから頑張れ」的な発想でいるのか、また、時間単位で指示を出すことや仕事をしていくうえでの支援をしてくれているかが問われています。

(3)コミュニケーション
 部下にやりがいをもって仕事をしてもらうためには、部下とのコミュニケーションを欠かすことができません。コミュニケーションができてはじめて部下は力を発揮することができます。上長たるものコミュニケーションができていなければならないということになります。
・部下の意見に対し肯定的に耳を傾けているか
・部下の意見に対してアドバイスをするか
・部下の意見に対するアドバイスは適切か
・感情を出して叱責せず、冷静に話し合うことができているか
・部下の意見を評価し、ときには採用する度量をもっているか

 コミュニケーションは双方向のやり取りをいいます。したがって、方針や環境づくりはあるものの、一方的な通知ではなく、また一方的な所作ではなく、部下とのやり取りが正しく行われる必要があります。また、コミュニケーションをとるために常に冷静に対応できるかどうか、また、コミュニケーションをするなかで、上長として部下の良い点を取り入れる姿勢をも問うています(続く)。