最盛期(というのがいつかは判りませんが)の銀座と比較するとまだまだということなのでしょうし、また海外の旅行者がいないということでは、ある意味途上ではあると思いますが、これだけの人でにぎわったのは久しぶりだと考えています。
そこで、この風鈴売りを見つけました。風情があるというほどの雰囲気ではありませんが、もし、この風鈴やさんが、夏の訪れを思わせるような、少し日差しの強くなった下町の路地にいたらどうでしょう。
時折り通りすぎるそよ風にゆられて、風鈴がチリンチリンと小さな音を奏で始め、それがいくつも重なって、涼しげな空気を運んでくる。子供たちがあちらこちらからお母さんと一緒に、色とりどりの風鈴を買いにくる。そんな光景がふと目の奥に浮かびました。
いまの日本は、さまざまな問題を抱え、とても穏やかに過ごせる国ではありませんが、中東やアジアの一部の国、そしてアフリカ諸国や欧米にあるより解決困難な状況と比較すると、まだまだ過ごし易い国なのかもしれません。
いま、いろいろな問題に目をつぶり、平和にひたり、何も考えない、ということでは未来に禍根を残しますが、ほんの少しだけ、ほんの一瞬だけでもこうした日本らしい、そして人間らしい思いに浸ることができたことに幸せを感じたのでした。