よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

桜島に見守られ鹿児島講演会

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 鹿児島での講演会を終わり空港にいます。2時~4時半の後援会が、またまた饒舌な私のせいにより、4時50分になってしまいました。
医療機関の今後の方向性について
~激動の医療制度改革を乗り越えるための対応は~が、今日のタイトルです。鹿児島ではほぼ毎年この時期にセミナーを行っており、なじみの先生もいらっしゃったりして、楽しい講演会をさせていただきました。50名以上の方の参加を得て、盛り上がり状況での講演会でした。
内容は、以下です。
コンテンツ
(1)厚労省は病院機能分化によるベッド削減を目指す
(2)自院を分析し、どのポジションに存在しているのかを認識し「どこにいくのか」を決定しなければならない
(3)DPCだからといって残れるわけでもない
(4)急性期以外はより一層の努力が求められる
(5)病院経営はあらゆる可能性を持っていることは確かであるが、それを実行できるかどうかはマネジメントにかかっている
(6)結局は、医師・スタッフがどう動けるのかにより結果がでる

日本経済
(1)政治が混迷し、舵取りが誰もいない
(2)財政的には国債だよりの運営がいつまで続くのか怪しくなり、国際は2度の格下げ対象となっている
(3)意図的な円高基調にあるため、身動きがとれない
(4)海外での生産は増えているが国内生産は増えていない
(5)家計の所得は年々減少している
(6)外来患者の受療率はピーク(2000年12月)から、 21%以上減少している

景気は回復しない
(1)歳入40兆円歳出90兆円=50兆円は借金
(2)金利と積み重ねにより、確実に国の借金は増加
(3)過去と同様の年金支給額、社会保障へのコストを負担できなくなりつつある
(4)医療費負担増、介護給付の制約
(5)消費税は不可避(影響は1.2~2%)
(6)国民の可処分所得、内国法人の所得は確実に低減する
(7)(貨幣量↑→)円安→物価高→(国債暴落→銀行淘汰→融資×)→企業倒産→失業→患者減

厚労省の方向性
(1)過剰ベッド削減のために(←医療の効率化)
  ①平均在院日数短縮②病院機能分化③連携強化
  ④診療報酬体系の見直し
(2)医療を幅広く提供するために
  ①在宅医療の充実②介護との連携強化
(3)医療を守るために
  ①社会医療法人導入②医療費自己負担の見直し
  ③勤務医負担軽減
 そのうえで、景気悪化や消費税が目的達成時期を早める       

厚労省の考え方
(1)急性期、慢性期、介護期に医療を区分した
(2)DPC病院の峻別が進む
(3)13:1以下は慢性期を担うとして急性期から外すなど、一般病床を適正数まで削減させる
(4)10:1以上で非DPCはDPC化(平成28年?)
(5)在宅療養支援病院を増加させて、在宅高齢者急性増悪への対応を行う
(6)廃止延期の介護療養病床は早晩役割を終わる
(7)医療療養病床の医療区分1や2の30%はさらに点数を引き下げる

地域貢献し続けるための対応
(1)地域人口は減少に転じる。若年層は減少する。急激な景気の回復はない。
(2)Ⓐ組織拡大Ⓑ組織維持Ⓒ組織縮小Ⓓ業態転換
 のどの方向を目指すのかについて徹底的議論
(3)①単独での対応②複数組織での対応③地域での対応のどれを選択するのか(2)との連関で決定しなければならない
(4)まずは、組織を強固にするための病院改革を行う必要がある

増患と単価アップ
(1)医療資源を最大活用しなければ地域貢献できない
(2)行ってみたい病院、行きたい病院になることで患者さんが来院する。急性期も慢性期も増患し続けなければ残れない。
(3)医療の質を向上させることと、プロモーションが増患の基本
(4)マネジメントシステムの整備、マネジメント領域を明確にしたうえで、病院としての各領域への対応が行われる必要
(5)「(適正)利益は患者評価の証」という考え方を徹底できるかが病院経営の肝。必要適正利益が得られる経営なのかを徹底検証

と続きます。

医師を中心としたマネジメント
(1)医師が自らの思いを以て医療に取り組めない環境がある
(2)病院トップは医師の考えを病院経営に活かしていない
(3)医師はリーダーであるが、リーダーにはなれていない
(4)医師を中心としたマネジメント体系の構築が必要
(5)CI(臨床指標)を含めたKPI(成功の鍵となる指標)を使った管理が有効
(6)医師のやりたい医療、病院がやって欲しい医療の均衡点をみつけた対応
(7)明確なヴィジョン設定と月次での反芻(予実)を継続

DPC(病床)病院のヒント
(1)特徴づくり
(2)戦略明確化
(3)高額検査及び手術件数増加
(4)増患対策による入院実患者数増加
(5)事務部門の充実による中間管理者育成
(6)管理会計導入
(7)業務改革の徹底
(8)部署間コンフリクト解消
(9)退院支援強化

地域一般(病床)病院のヒント
(1)特徴づくり
(2)検査・撮影機能強化
(3)入院実患者数増加
(4)強みをもつ手術の実施
(5)前後連携強化
(6)在宅療養支援病院への届け出
(7)ケアミックス機能強化
(8)多様な病床再編
(9)DPCへの移行か受け皿への展開かを検討

療養病床のヒント(1)医療区分構造変革計画
(2)営業チーム組成及び運用
(3)地域連携強化
(5)業態転換検討
(4)高齢者住宅や施設への展開
(5)医療の質向上への仕組みづくり
(6)介護事業との連携及び事業展開
(7)在宅療養支援病院の届け出

などなど、ここから詳細な取り組みに入ります。
ということで、ながくなるのでこの辺に…。

いずれにしても、大変な時代を迎え、危機感をもって医療の質を向上し、実患者数の増患を達成しなければ残っていけないという結論です。業務改革を進め、タイムマネジメントのもとPDCAサイクルを回し、徹底的に強固なガバナンスを行っていきましょう、あと3年が勝負である、という話をさせていただきました。


時間超過で講演会を終わり、留守電をみると、日立キャピタル矢吹鹿児島支店長から連絡あり、桜島の見える居酒屋で会食をしてから、一便送らせて帰ることになりました。

彼は医療チームにいましたが、昨年こちらの支店長として赴任したのでした。
鹿児島での生活、風習、仕事について、桜島をみながら話がはずみました。やはりお魚は美味しかったです。久しぶりの旧交を温めたのち、また会うことを約して中央駅からバスで空港に向かった私でした。