よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPCは何を目指すのか

もともと米国ではじまった出来高からDRGへの改革において、志向されたのはコスト削減でした。

 日本がDPCを採用した段階で、極端なコスト削減を目指すのではなく、まず無駄を排除しようというながれになりました。一入院包括ではなく、一日入院包括となった所以です。

 DPCはホスピタルフィーとドクターフィーの区分のなかで、入院してからは包括となるため入院前に検査を行い、薬を出し、入院してからは、包括となる医療行為をなるべくしない、コストを削減しろといった、あたかも医療の質を落とす制度であるような伝わり方があります。

 しかし、DPCは高密度で質の高い合理的な医療を目指していることを思い出さなければなりません。
 DPCには、質を維持または高め、在院日数を短縮しつつ一般病床ですべてを行うのではなく、無駄を排除し、業態を機能分化を促すことで、回復期には回復期、維持期には維持期の病院業態をつくり、あるいは在宅にて医療を行うことで、医療体制を再構築していこうという意図があります。

 そもそも、出来高病床における医療には、医療費を高くしようというインセンティブが働き、無駄がある、という視点から制度改革が始まった経緯が背景にあります。

 また、確かに日本はベッド数が多い。在院日数を短縮して回転を高めれば同じ患者を少ない病床でケアすることができる、したがって急性期病床は減らし、受け皿病院となるか、医療資源を維持期や介護期に振り向けることを狙っていることは間違いありません。
 しかし、あえてタイトな環境をつくりあげるプロセスで工夫を喚起し、生産性を高め、医療の無駄をなくし、帰結として医療の質を向上させよりよい医療をつくっていこうと考えていることも事実です。

 DPCは、敢えて厳しい制度における環境において医療を行うことで、人間の英知と創造を引き出そうとしているという見方をするなかで、その内容を議論することが適当です。医療の原点回帰を成し遂げるものがDPCであるとしなければなりません。