よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

日本の優れた医療を広くアジアに

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 メディカルツーリズムが盛んです。日本の医療が改革期を迎えている現状において、海外からの検査、治療目的での来日を、日本の優れた医療を提供する機会としてとらえることはとても有効です。日本政府は新成長戦略の一つとしてアジアからの富裕層への医療提供を挙げていて、2010年6月には医療滞在ビザの創設をしたのはご承知の通りです。

 実際のところ、海外からの検査治療目的での渡航は放射能問題で腰砕けになった感はありますが、背に腹は代えられないということや、関西以西であればという海外の方々からの意見も聞いています。いずれにしても、日本での受け入れ態勢をどのように整備していくのかがこれからの課題であると考えます。一方、日本の医療従事者が海外にでて医療を行うといったことについても議論が始まっています。

 とりわけ中国香港貿易経済緊密化協定が改定され、香港企業が独資で中国での活動ができるようになったことから、日本においても香港企業を橋頭保として中国に進出することが容易になったという事実があります。従来は厳しい条件下におかれていた医療についても、香港居民を大半活用することが可能となり、その意味では日本法人が香港の方々と提携を行い、事業展開することが視野に入ってきたとみることができます。

 中国でのいきなりの中国資本との提携ではなく、香港を通じてこれを行うことで、従来よりは事業展開が行いやすくなったとみることができます。もちろん、現実的には中国での活動においては一定の関係構築を中国側と行うことは当然ではありますが、従来よりも資本に関する考え方に柔軟性があるところ、いままでのような問題を惹起させないことでの対応が可能です。詳細についてはここでは検討しませんが、興味のある方は香港貿易発展局が日本向けに出している資料がありますので、閲覧されるとよいと思います。

 私たちホワイトボックスは、過去北京大学病院に日本の心臓血管外科医を紹介し、中国と日本の関係構築に動いたことがあります。
 交流が始まり一定の成果を得たプロジェクトでしたが、そのときに中国側の医療の考え方や実態、さらには政府の方々の考え方についても知り、日本の医療が中国にとって有益であるということの確信をもつことができました。

 彼らの渇望する日本の医療が、ほとんど提供されていない現状において、日本の医療機関が行うべきことは無尽蔵にあると理解しています。民間レベルでの交流はあらゆるところで行われてきたわけですが、実務的に大きなながれとなって中国の患者さんを日本で受け入れるということにはつながっていないという事実があります。

 香港では、隣の広州から多くの患者が香港の医療機関に来院して治療を受けている現状がありますが、日本の高度医療に期待する中国の方々は数多く存在することが予想されます。中国での活動の前に、香港での活動を、ということで病院の視察をしましたが、日本のように国民階保険制度がなく、民間保険や公的なサービスに頼りながらも、整然とそして秩序をもって医療が行われている現状をみて、日本の医療も逆に学ぶことがあると感じました。

 そもそも保険に入っていない患者であっても、1000円程度で受診できるし、廉価に医療を受けられるシステム(篤志家による寄付で医療が成り立っている現状)にはとても驚きましたし、感動しました。

 税金が16%であり消費税もなく源泉税もなく、他のほとんどの税金もなく、国が綺麗で毎年整備されていく姿をみていると、日本の政治や財政がなぜこのようになっているのか、とても疑問に思います。いずれにしても、われわれは座して何かを待つのではなく、積極的に何かをする、行動するという姿勢を医療や介護においてももつ必要があります。

 大言壮語はできませんが、私たちホワイトボックスも、これからできるかぎりの活動を行い、現状打破のための成果をひとつでもあげていければと考えています。写真はプライベートな病院と公的病院の外観です。