多くの組織で、権限と責任がうまく整理できていません。
厳しい外部環境となるなかで、各組織は足元を固めなければなりません。個々の職員が力を発揮することができる内部環境づくりを行う必要があるのです。権限と責任の明確化は、それらに一定の方向性を付与する基準になります。
権限と責任を明らかにする規程を職務権限規程といいます。職務権限規程は、職務権限規とは、組織において各職位の職務権限を明確にした規程です。職務権限規程を定めることによって、職位や部署相互の職務の分業と責任範囲を明確にして、命令系統のトラブルや職務間の重複や不足が発生することを抑止します。
以下職務権限規程の作成プロセスを説明します。
- 職務の明確化
- 権限と責任の所在調査
- それぞれの内容調査
- 過不足についての検討
- 各部署及び現場での話し合い
- 職務権限規程の作成及び修正
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権限には、起案、審査、承認、(実施)、報告という項目があります。これらがあるべきかたちで行使されることにより適切な業務を行うことができます。どのような職務があり、付帯する権限にはどのようなものがあるのか、どのように責任を以て行使されているのかについての検証が行われます。
起案者も、その起案が適切かどうかを審査するものも大いに責任があります。ここで承認以降の権限が行使されるための前提や条件が検証されていないと承認以降の権限行使に瑕疵が生まれます。承認責任ももちろん重要ですし、承認事項が適切に実行されたことの報告を受ける責任も大事です。権限行使は責任を伴うので権限を明確にすることは責任の所在や範囲を明らかにすることと同義なんですね。
ということで誰が業務を洗い出しどのようなヒヤリングにより調査を進めていくのか、どのように整理していくのかなどについて検討します。
一旦あがってきた内容について、全体を俯瞰できる者、実務を理解できる者が実地調査を行い、実際に各権限が行使されるとき「あるべきもの」になっているのかどうかについての検証を行います。そうなっている筈だけれども実際にはそうなっていない、ということもあり、整理を行う者の認識と実際のギャップを埋めます。
すなわちここに本来あるべき権限が行使されていない、ということや本来持つべきではない権限が行使されていないということがあるのかどうかについての議論をする必要があります。実際の権限と実際との間の過不足を埋めていくのです。
組織として、権限の行使はどうあるべきであるのかを確定したうえで、現場でのあり方を決定していくことになります。幹部と現場の間でどうあるべきであるのかについて議論し、最終決定することになります。
最終決定した内容を権限規程として整理します。これらを交付してそのように動いてもらうとともに、齟齬があれば(食い違いがあれば)これを修正します。
以上、かなり大雑把に書きましたが、結果としてどの部署やどの職位の誰が権限をもち、誰が権限をもっていないのかについて明確にし、その通りに運営できるようにしておく必要があります。そうではなければ、
- あるときには権限を行使し、あるときには行使しない
- 誰も行使しない
- 皆で行使する
といった混乱が起こります。
権限の所在が明らかでなければ責任も不明瞭となり、物事がうまく進みません。円滑に業務を推進するためにも、この業務は誰が責任をもつのか、権限をもつのかについて明確な決定が行われる必要があります。もちろん組織成長や事業再編により業務の進め方も変化するため、都度職務権限規程は改訂されることはいうまでもありません。
組織構成員が規律ある行動をとるため、また無駄のない業務のために職務権限規程作成、運用を行い、戦略の的確な実行を担保できるよう組織運営を行うことが得策です。職務権限規程、結構重要ですね。