よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

タイムマネジメント思考について

 これからの医療は、一般の医療従事者の方が考えを凌駕して、大きく変化してきます。想像できないことが起こる可能性があります。

 1.来年の改定により傾斜配分が行われ、機能分化がより鮮明な結果を生む
 2.初期においては、DPC病院の在院日数が短縮され、実患者数を増患する必要性から非DPC病院
   の患者が減る可能性が高い
 3.100円上乗せ、自己負担により受診抑制が起こる
 4.高齢者の医療費の自己負担の行方も不透明
 5.消費税は5%で経常利益に2%影響する
 6.民間病院は法人税率アップによりキャッシュアウトが大きくなる
 7.ヨーロッパの金融破綻は日本の崖っぷち財政に大きく-の影響を与える
 8.為替の行方により日本経済は大きく影響を受ける
 9.不景気になり可処分所得が低下すれば、さらに受療率は提言する
10.年金問題は、将来不安を誘導し、また介護自己負担増や介護度による介護給付の抑制があれば、な
   おさら医療受診を抑制する方向に振れる
といったことが簡単に列挙できます。

 だからといって、医療を守らなければならないことには変わりはありません。であれば、足元を固め、
組織を強固にしていくこおた必要であることを確認する必要があります。
 
 そこで、仕事の質を高めて生産性を向上させる必要があります。生産性を高め生まれた時間を患者さんやご家族に対する時間や、業務改革などの付加価値業務に振り返ることで、より高い成果を得ることが可能です。

 仕事の質を高め生産性を向上させるためには、タイムマネジメントを行う必要があります。いくつかの病院でのタイムマネジメントのレクチャーや看護部教育を実施してきましたが、その一部をここで、提示します。

もっとも生産的に仕事を進めるために、
(1)時間を軸として
(2)自分と
(3)他人との関係をつくりだす
(4)仕事を円滑に行い、付加価値業務に時間を割く
ことがタイムマネジメントを行う目的

(1)組織の仕事を棚卸をしてリストをつくる
(2)1日の単位の仕事の質と量を把握する
(3)自分がやるもの、上司に支援してもらうもの、部下
 に指示するものを区別する
(4)自分の仕事を重要なものとそうではないものに区
 分する
(5)(4)に従い、できるだけ重要な仕事から片付ける
(6)空いた時間に付加価値業務を行う

(1)手法の理解
  組織にある仕事、自分の仕事、他者の仕事の全体
 をメンバーが掌握できていること
(2)前提の確認
  仕事が標準化されていること
(3)上司は部下の仕事をじゃましない。部下は上司に
  自らの仕事が時間内にできるよう支援してもらう 

(1)1ヶ月、1週間、1日に明確な組織達成目標がある
(2)チーム及び個人の計画が立てられている
(3)限られた時間で協力して実行
(4)できているかどうかを常にチェック
(5)行動(もしくは計画)の修正を行い、次に活かす

(1)全体の仕事質量の掌握(緊急事態も想定)
(2)仕事の合理的な割り振り
(3)自己の確立
(4)他者の特性
(5)他者との関係の明確化
(6)体調管理
(7)自分の時間コントロール
(8)相手の尊重(及び調整)
(9)チームワークに対する強い意識
(10)責任者による全体の進捗管理

朝、なにげなく病棟に入り、あまり考えずに、ながれに乗って仕事をし始めた。

 受持ち患者さんに実施すべき事項を整理し、頭のなかで自分の行うべきことを計画した。今週中に在庫の整理やリスクの課題を整理しなければならなかったので、今日やるべきことを決めた。また、夕方1時間委員会に参加する前に処理しなければならない入力をすべて完了するための時間を考慮。全体として必ず行わなければならないことと最悪、明日に回してもよいものの区別をつけた。


自分なりに計画をして、調子よくこなしていたが、患者家族から、相談があるということで、突然呼び止められた。計画をタイトにつくっていたので、その後の計画がぼろぼろになった。

 日々の計画を立案するときには、必ず1日1時間だけは、余裕時間をつくるよう段取りをして、突然仕事があっても、それをクリヤーできるようコントロールしている。また、部下の能力と部下の当日の仕事量を把握しておき、何かあったら、自分の仕事を部下に任せられるよう、部下には予め、説明をしておくよう心掛けている。

他部署のAさんから、今日は病院機能評価のための準備をするから、1時間ほど時間が欲しいという突然の話があった。そんな「余裕がある訳ないでしょう」とピッチを切った。

 管理者会議で、来月各部に依頼する事項をすべて討議。また、現場で起こっているコンフリクト(衝突)の調整を行う。他部署との関係で、困っていることを発表するとともに、業務のすみわけや、協力関係について討議。もちろん、会議の前には事前に議題が提示され、決めた時間の範囲内で、全員が発言。議長がうまく意見を集約して結論を出す。出した結論は、必ず期日までに実行し、チェックされる。このやり方に職員全員が慣れてきた。構造改革への時間をつくることができるようになった。

という感じです。

 パワーポイントのコピーをしているので、なかなかうまく伝わらないかもしれませんが、結局のところ、チームリーダーは、チーム全体の仕事の質量を把握し、それを的確にスタッフに配分。スタッフは、それぞれの仕事のなかで、さらに優先順位をつけ業務遂行。さらに上司はそれら全体を俯瞰し、PDCAが正しく実施されているかどうかを確認。

 不足するところがあれば支援する。病院は突発事項が多いが、大半は事前の準備をしていれば防げること。仮に突発事項が発生したとしても、それをクリヤーできる余裕を意識し、またそのための手順や体制整備を怠らず、ただちに処理を行い、対処する、といったことが現場で行われている組織は強い、という趣旨です。

 タイムマネジメントを文化に昇華しなければ、抱えてる問題をも早期に解決することができず、日々の業務に追われ、環境変化に対応できない結果となる可能性が高い。各病院は送球にタイムマネジメントの普及と啓蒙を行う必要があります。