以前にも書いたが、どのような病院であっても以下を実施しなければならない時期がきています。
一つ一つが満足いくかたちでできあがっているのかどうかについて検討する必要があります。
1.戦略の決定及び一体化
(1)自院の方向を中期、長期で決定する
現状を分析し→到達点を決定し→乖離を確認。不足する部分を埋める解決策を検討し、それを計画に 乗せ→実行し→チェックし次の行動に活かす、というながれを経営全体に構築できているのかを検証 しなければなりません。
①医療制度改革の方向を見据える
②自院の経営資源を把握する
③業態に併せて到達点を決定する
④乖離をどのように埋めるのかを決定する
⑤そのための計画を立案し実行できる体制をつくり続ける
(2)成功ストーリーの提示
人は、ただ医療に対する使命感だけで仕事をするのではなく、物語のなかで仕事をすることで、本来 持っている力を発揮することができます。
繁忙な毎日は、疲弊を生み組織への執着をなくします。成功のストーリーをリーダーが常に提示するマ ネジメントを行っているのかが盛衰を決定します。
①(1)のヴィジョン化
②医師を中心とした医療の実践(ブリーフィングシステム)
③利益は患者の評価の証である、医療資源を最大活用することが地域医療貢献
④医療と財政のバランスが大切。医療の質を合理性を以って向上させる
⑤生産性を向上させれば効率が上がることを示す
2.病院改革のためのマネジメント確立
(1)マネジメント確認不足する事項の整理
①マネジメント領域
②病院マネジメントシステム
(2)組織体制の見直し
①必要な人員配置ができているか
②無駄な人員が配置されていないか
③一人ひとりのスキルを高めつつ組織を変える
3.病院改革のモニタリング
(1)人を育成するためのモニタリング
①目標管理評価→日々の仕事を通じた組織目標達成を中心とした教育
②人事考課
ⅰ)能力考課→職務基準やマニュアルをメルクマールとしたスキルの教育
ⅱ)情意考課→仕事への取り組み姿勢や関わり方からの人格育成
ⅲ)業績考課→成果(プロセスや結果)への執着の育成
(2)仕組みを変革するためのモニタリング
①内部監査(ISO、業務監査、会計監査)
②15日以内の月次決算
③指標管理
④部門別損益計算
⑤(DPC病院)患者別疾病別原価計算
ここでは、業績評価や人事考課をモニタリングの一つとして捉えているところにポイントがあります。
業績をあげるのは個人及び組織であり、それらの評価が行われないまま、事象をみるだけでは修正行動がみえてきません。
責任と権限をもち役割を行使しなければならない管理者や監督者がどのように行動しているのかについて常にモニタリングを行い、修正していく必要があります。結局、医療は知的労働集約的産業である、ということを失念してはなりません。
(写真)プノンペンの韓国系病院