よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

クリティカルパスにバリアンスマネジメントはつきもの

 パスが、単なるオーダーの一部ではなく、業務改革ツールであるということの側面を忘れている病院が多くあります。バリアンス(標準からの逸脱)の集計及び分析、そして対策を確実に行うことが必要となってきます。

 バリアンスの把握、分析、結果の運用について体系的な仕組みを作り上げておかなければなりません。
 バリアンスの原因としては、次のものに対する問題があげられます。これらはとりわけ負のバリアンスが対象となります。
 ①業務のながれの不備
 ②検査や手術のスケジュール組み
 ③必要人員の確保不足
 ④医療従事者のスキル不足
 ⑤クリティカルパスの不備
クリティカルパスに基づく医療の未実施
 ⑦患者個体差
 ⑧合併症の存在
 ⑨アクシデント
 ⑩その他患者サイド(家族)の問題

 もちろん、正のバリアンスについては、
 ①治療法の改革
 ②新薬の利用
 ③全般的医療の質向上
 ④患者個体差
といったものが積極的な原因として俎上に乗ります。

 これらについて詳細な区分があり、コード化され対策が立案され、または敷衍化が行われ、業務改革やパスの改定につなげられます。

 と突然にパスのバリアンスの話になりましたが、マネジドケアの観点からパスが作成されたという側面はあるものの、日本においてはどちらかというと在院日数短縮にどのようについていくのかといったところから、パス日が決定されている気がします。

 結局DPCのⅡ期間の終わりにバス日を設定するということがリミットであり、稼働率が高い病院であれば、場合によれば、それ以前に退院を促すかたちができあがってくるという認識があります。

 もちろん、合わせてですチャージプランニング(退院支援計画)の制度や実際の退院支援が円滑に進むということが基本ではありますが、パス日を在院日数を睨みながら設定し、医療をそのなかで組み立てるという誘因がありそうです。

 そこで医療の質を高めるための業務改革や改善が行われる、あるいは教育が行われるといった傾向にあると考えています。