よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

時代を乗り越えるための医療機関の成長戦略

イメージ 1

本日の大阪りそな銀行・りそな総研セミナーの資料の第1ページ目には、以下の文章が書いています。
・経済環境が悪化し、医療福祉にコストをかけられない
・消費税は大きなコストアップ要因
・受療率は低減し続ける
・地域によれば益々人口が減少する
・急性期、慢性期、介護期への機能分化と在院日数短縮で、病院病床は削減される
・特徴づくりと連携ができなければ病院を維持できない
・明確なコスト管理ができない病院は淘汰

そして、最後のページには、
・どこにいくのか方向の早急な明確化(できるだけ早期にもっとも成長できる分野への特化)
・戦略立案(課題抽出)
・事業計画立案
・部門別損益計算及び管理会計の徹底
・医師面談によるベクトル合わせ
・職員への動機喚起
・統治体制の確立による計画の徹底
・増患プロジェクトの立ち上げ及び運営
と書きました。

 タイトルは、「時代を乗り越えるための医療機関、成長戦略」
とても大げさなタイトルになってしまいましたが、結局は地に足を付けた増患対策を行うための医療の質向上とプロモーション、そしてサ高住を活用した裾野を広げるための活動を行わなければならない、という帰結です。

 結局のところ、医療に王道なし(安易な道・近道なし)、ということなのですが、本来のあるべき経営を行っている病院が少ないという背景があるからこそのタイトルです。

 つまり、産業の空洞化が起こり、国内総生産が縮小し、貿易収支が赤字になってしまった日本においては、医療介護は成長産業であり、最後まで残る産業である。今後は、日本には医療介護及び生活周辺産業しか残らず、働ける国民は海外に出て資金を稼ぎ、それを日本に送金して国がなりたつ(いま、既にそうなってきています。そもそも税収<国債発行額であること事態が、経済活動が十分に行われていない証拠です)状況になってきます。

 そのときに残る医療介護は、合理的で質の高いものであることは間違いがありません。医療介護を提供する主体はすべて社会的価値をもっているとしても、組織を維持できなければ意味がありません。

いくら素晴らしい活動をしていても、資金収支が合わなければ存在できないのが民間の組織だからです。
公的機関はそれぞれの事情により、赤字であっても医療福祉サービスを提供し続けることができる組織体も多くありますが、民間はそうはいかない。財務的に成り立つかたちで医療介護が提供されなければなりません。マネジメント力が問われます。

 医療介護そのものは医療従事者やサービスの提供者がいれば成り立つ。しかし財務的に問題があれば組織は継続できるかどうかはわからない、という帰結です。

 現場で働く職員のためにも、幹部はマネジメント力を身に着け、またはシステムを確立し、組織を守り成長させる義務を負います。マネジメント能力を育成することこそがリーダーの役割であることを忘れてはなりません。

 昨日、りそな関係の方々と京都で会食をしました。今日は大阪の阪急でセミナーを行いますが、少しでもホワイトボックスの考え方が病院運営や介護事業に役に立てればと考えています。