以下は最近の病院でのミーティング資料の一部です。
部門別損益と指標管理を理解するために必要な事項ですので、チェックしてみてください。
部門別に損益が計算されれば、最終的には外来患者や入院患者一人当たりの医業収益や医業原価、そして利益が把握できることになります。
部門別損益を計算するのは、何かの改善を行うという目的が別途あります。損が出ているとか出ていないということだけではなく、
- 損がでている原因はどこにあり、それはどうすれば、改善されるのか
- 利益がでている原因はどこにあり、それはどうすれば、より伸ばしていけるのか、他にも応用できるのか
といったことを把握しなければなりません。収益を高め、費用を下げより利益を生み出すことができるかどうかの検討をも含め部門損益計算。
さらに分析を行い、
・医業収益=患者数×単価
・医業費用=費目別妥当性
といったことに焦点を絞り分析を行っていくことになります。
例えば、
(医業収益)
- 何科の患者数をどれだけ増加させるのか
- 入院経路は適切か(外来、入院紹介、時間外、救急車等)
- どのような検査をどれだけ増加させるのか
- どれだけ入院を増加させられるのか
- どれだけ手術をすればよいのか
- 点数の高い手術をしているか
- 手術室の稼働は適切か
- 単価を維持したままマックスまでの病棟稼働率は適切か
- 何日入院させればよいのか(在院日数は妥当か)
- 前後連携は最適化されているか
- 医療機関との前後連携は進捗しているか
- 転棟は最適日に行われているか
- 加算を取る体制が順守されているか
- 査定減される医療行為を行っていないか
(医業費用)
- 人員配置は妥当かどうか(同人数での経験やスキルが異なるスタッフをどう配置するか)
- 一人当たりのスキルは適切か
- 一人当たりの成果は適切か
- 一人ひとりの評価及び報酬は妥当か
- リーダーがリーダーシップを発揮しているか
- 定着率は適切か
- 無駄な時間を費やしていないか(含む:タイムマネジメントができているか)
- 科別時間外は妥当か
- 仕入金額は妥当か
- 在庫量や在庫金額は妥当か
- 受け払い管理は妥当か
- 無駄な消費・使用はないか
- DPCに合致した行動をとっているか
- レベル3b以上の事故を起こしていないか
が必要になります。
部門別損益の結果から上記の問題を発見し、課題化し、それらを解決することが、部門別損益計算や指標管理を行う重要な目的の一つとなります。
もちろん、ここで挙げたこと以外に解決すべき課題は数多くありますが、収益が下がる、費用が増加するのはなぜなのかを部門別に把握し、その原因を定量化することで明らかにしなければ解決に結びつきません。部門別損益計算や指標管理は、ここでいう問題発見・分析に不可欠な道具ということができます。